東芝のWD和解協議が優位に 増資決定で上場廃止回避 月内合意は見通せず

東芝メモリの四日市工場で建設中の第6製造棟(同社提供)
東芝メモリの四日市工場で建設中の第6製造棟(同社提供)【拡大】

 経営再建中の東芝が約6000億円の増資を決めたことで、係争中の米ウエスタン・デジタル(WD)との和解協議が前進する可能性が出てきた。係争が障害になって来年3月末までに半導体子会社「東芝メモリ」を売却できなくても、上場廃止を回避できるため、交渉を優位に進めやすくなったからだ。ただ、両社の溝はなお埋まっておらず、目標とする月内の合意が実現するかは不透明な状況だ。

 東芝の成毛康雄副社長(東芝メモリ社長)らは先週訪米し、WD側と係争解決に向けた協議を行った。関係者によると「少しずつ状況は変わりつつある」ようだが、「結論は出ていない」といい、協議を継続していく意向だ。

 東芝はWDに東芝メモリの四日市工場(三重県四日市市)で建設中の第6製造棟への共同投資を呼びかける一方、投資に参加する条件として国際仲裁裁判所に申し立てている東芝メモリ売却差し止め訴訟の取り下げを求めている。

 東芝関係者は「折り合えなければ、単独投資に踏み切る」と語る。8月に決めた第6棟の最初の設備投資ではWDを排除。半導体メモリーの活況が続く中、増産に向け投資が前倒しになっており、東芝は次の設備の発注を11月中に済ませたいとWD側に伝えた。

 両社は四日市工場で設備投資負担の割合に応じて製品を分け合う契約を結んでおり、WDはこのままだと最新のメモリーの供給が受けられずに経営の打撃になる。このため、強硬姿勢に変化の兆しもあるようだ。

 こうした中、東芝が増資による資本増強の枠組みを固めたことで、上場廃止懸念が払拭され、和解に応じるようWDにさらに圧力をかけやすくなった。ただ、両社はこれまで激しく対立してきた経緯もあり和解の条件で折り合えるか予断を許さない。関係者は「そう簡単にはいかない」との見方を示す。(万福博之)