【視点】日本企業の相次ぐ不祥事…問われるトップの資質 現場に出向きコミュニケーションを (1/3ページ)

 □産経新聞編集委員・松岡健夫

 日産自動車とSUBARU(スバル)の無資格検査、神戸製鋼所の性能データ改竄(かいざん)など日本を代表する製造業で不祥事が相次ぎ発覚した。高品質・高性能という「メード・イン・ジャパン」の信頼性を失墜させかねない大きな問題だ。

 非正規社員が増加する一方で高齢化による熟練工の減少で製造現場が揺らいでいるとの指摘もあるが、現場力は落ちているのだろうか。いや、モノづくりの現場は今もまじめで、常に技術力を磨いている。求められる以上の品質を追求し提供する職人かたぎは残っている。

 むしろ揺らいでいるのはコーポレートガバナンス(企業統治)であって、経営トップの現場感覚のなさが不祥事をもたらしたのではないだろうか。現場に足を運び、担当者の生の声を聞いてコミュニケーションを密にしていれば現場の能力を把握でき、無理な注文をしないはずだ。

 現場の報告を聞くだけで状況を理解していない経営陣なら、利益を追求するためコスト削減や納期厳守を求める。すると現場は品質や安全を多少犠牲にしてまで優先してしまう。無理難題をいわれてもやるしかないからだ。

 ある企業のトップは生産現場に行っても作業着に着替えずスーツのままだという。これでは経営陣と現場の距離は遠くなるばかりだ。危機管理に詳しいNPO法人広報駆け込み寺の三隅説夫代表は「現場は一生懸命やっているが、経営陣が機能していない。劣化しているのは経営者のほうで、品質向上が求められる」と強調する。

経営者は裸の王様になりがちだ