商工中金、見えぬ新たな収益源 9月中間最高益も「実態は減収減益」 (1/2ページ)

 中小企業を対象にした公的制度「危機対応融資」で不正を繰り返した商工中金が22日、2017年9月中間連結決算を発表した。最終利益は前年同期比約2倍の207億円で、株式会社となって決算を公表するようになった09年以来、中間期として過去最高益となった。ただ、一時的要因が大きく「実態は減収減益」(経営企画部)だ。“解体的出直し”を迫られる中、今後、どう収益を上げていくかの見通しも立っていない。

 中間期では不正融資に伴う国の利子補給金の返還や、第三者委員会の調査費用など計約78億円を損失として計上した。ただ、景気回復に伴って企業倒産が低水準で推移しているため、与信関連費用が改善し、不正による損失を補い増益を確保した。売上高に当たる経常収益は4.7%増の1036億円だった。

 好決算となったものの懸念されるのが今後への影響だ。危機対応融資は商工中金が「一丁目一番地」として力を入れ、融資残高の3割近くを占める基幹業務だが、今後の縮小は必至だからだ。通期業績見通しは変更しなかったが、将来的に収益への悪影響は避けられない。

 同日、記者会見した商工中金の担当者は、今後の収益源について「既にやっている分野で磨きをかける。政府が(商工中金の)あり方を議論しており、今はそうしたコメントしかできない」と返答に窮した。

将来に希望を見いだすのは難しい実情