財界訪中団、日中連携確認もネット安全法に強い警戒感

国家発展改革委員会と意見交換する財界訪中団=23日、北京市(平尾孝撮影)
国家発展改革委員会と意見交換する財界訪中団=23日、北京市(平尾孝撮影)【拡大】

 20日からの北京での一連の会合では、政治・外交面の関係改善を背景に経済界の日中連携強化を確認した財界訪中団。ただ、中国が6月に施行した個人情報や重要データの越境を禁じる新法「サイバーセキュリティー法(ネット安全法)」には強い警戒感を表明した。今後の連携の障害になりかねない重要な課題が、新たに浮かび上がった。

 「中国で収集したデータの持ち出しに制限がかかることは、参入障壁でしかない上に、公正な競争を阻害する」。22日に行われた産業政策を担う工業情報化省との会談で、IHIの斎藤保会長は6月1日に施行されたネット安全法の問題点を指摘した。

 旭硝子の石村和彦会長は「中国工場で得た製造の手法をデータとして蓄積し、それをグループの海外工場で使うことができるように企業内のデータ通信は必要」と要請。これに対し、中国側は「サイバー空間での安全や安定のためのもので、全世界で重要な意義がある」と説明したが、懸念は広がる。

 その後の記者会見では、日中経協の宗岡正二会長が「同法には細則ができるとされているが、それが見えてきていない」と憂慮し、榊原氏も「データの利活用をめぐる問題で重要な点だ。日本と中国だけの問題ではない」と強調した。

 米国は既に世界貿易機関(WTO)にネット安全法の施行中止を要求しており、今後、大きな問題に発展する可能性も出ている。

(北京 平尾孝)