【木下隆之のクルマ三昧】自動車事故はゼロにならない!? 運転支援技術の“落とし穴” (1/3ページ)

 このところ、自動車業界を取り巻く話題の筆頭が「自動運転」である。

 グーグルが完全自動運転車の完成のため、本格的な試験場を作った。広大な91エーカー(約36万平方メートル)の土地に「架空の街」を建設。試作車を走らせ、膨大なデータを元にAIに学ばせているという。無事故の時代も間もなくかと思わせる。

 「ぶつからないクルマ」の時代

 自動運転の過渡期のいま、運転支援技術も進んでいる。アウディはA8に、条件付きながらレベル3の機能を搭載した。メルセデスSクラスも驚くほど高い技術を搭載している。日本の最高級モデルであるレクサスLS500にも、現在ではもっとも進んだ技術を投入してみせた。「ぶつからないクルマ」の時代へと、目も眩むような速さで進んでいるのである。

最先端の運転支援技術を搭載するレクサスLS

最先端の運転支援技術を搭載するレクサスLS

 ただ、果たして無事故時代は到来するのか。一日も早く街中が無事故になるように、ワクワクとしているのにもかかわらず、気持ちの裏側ではどこか、ザワザワと落ち着きを失っているのだ。

 先日、知人の助手席に乗ることがあった。家族4人で旅行に行くのだと購入した、新車のミドルセダンだ。十数万円で家族の安全が買えるなら安いものだと、意気揚々と衝突安全システムをオプションで組み込んだ。そんな彼の運転を横から眺めていて、不思議なことにドキドキが止まらなかったのだ。

 理由は彼の運転にあった。よそ見運転も頻繁だったし、バックで駐車するときにも、後方確認を疎かにしていた。

 「ちょっと言っていい? 運転、危ないねぇ」

 「そう、どこが?」

 「前方不注意ね。こっちが緊張するよ」

 「あらあら、それはごめん。でもこのクルマ、衝突しないからね」

 確かにそのクルマには、衝突防止システムが装備されていた。前方の障害物を感知し、速度0km/hまで停止してくれるのである。

技術の進化で運転レベル低下? 実は興味深い理論が…

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