「平井さんと『健康経営いいですよ。やりましょう』と意気投合し、私から『1社で進めてもいいけど、コミュニティをつくって大きく展開したらどうですか。健康経営を文化にすることが必要です。私もお手伝いします』と提案しました」(藤岡)
藤岡の提案を受け、平井は一企業の枠を飛び越えたビジョンを強める。
「健康経営を推進する会社が増えれば増えるほどうねりは大きくなる。渋谷のIT企業はSNSなどを駆使した発信力もあるのでコミュニティをつくる意義があると思いました」
こうして渋谷ウェルネスシティ・コンソーシアム(略称ウェルネコ)の創設に着手。とはいえ、平井にとってコンソーシアムは未知の世界。協力を仰げそうな人を探した。そのうちの1人が、企業に健康経営を広げる「健康経営アドバイザー」の研修を開いている東京商工会議所のサービス・交流部担当部長、藤田善三だ。
「平井さんとは健康経営に関するセミナーなどで何回かお会いし、『健康経営アドバイザーの研修を受けたい』とおっしゃるので、受講してもらいました」
その後、藤田は平井のアドバイザー役を務め、ウェルネコの理事にもなる。
藤田とともに健康経営アドバイザーのテキストを作成したのが大和総研のコンサルタント、枝廣龍人だ。大和証券グループ本社は、経産省と東京証券取引所が社員の健康への取り組みについて優れた企業に与える「健康経営銘柄」を取得していた。そんな健康経営の先進企業に16年1月、平井から「話を聞きたい」と打診があった。