【PC Watch】ジャストシステム、小学生向け講座

ジャストシステムの「プログラミング講座」に使われるタブレット端末
ジャストシステムの「プログラミング講座」に使われるタブレット端末【拡大】

  • ジャストシステムILS事業部開発部の廣庭雅一氏
  • )ジャストシステムILS事業部マーケティング部の寺尾房代氏

 ■タブレットでプログラミング

 ジャストシステムは、クラウド型通信教育サービス「スマイルゼミ 小学生コース」で、新学生指導要領に対応した「プログラミング講座」を2018年3月から全会員に提供すると発表した。スマイルゼミは、タブレット端末のみで学習が完結する。月額費用は2980円からで、別途、専用タブレット代の9980円が必要となる。なお、タブレットはサービス利用終了後もアンドロイドタブレットとして利用できる。

 ◆子供1人で取り組み

 ジャストシステムは、学校で教師による授業をサポートする「ジャストスマイル」、家庭用に子供1人で取り組める「スマイルゼミ」を用意し、学校と家庭の両面で学習を後押ししている。18年3月から提供する講座は、今後5年で教育に大きな変化が起こることを踏まえ、小学生がプログラミングの理解を深めることを支援していく。

 「プログラミング教育に対して、(プログラム言語でプログラムを作成する)コーディングを覚えることが目的であるという誤解が広がっている」と有識者会議で指摘されたことを同社も懸念していると、同社ILS事業部開発部の廣庭雅一氏は述べた。

 同氏によれば、IT(情報技術)業界関係の間でも、コーディングを覚えさせることで職業選択の幅を広げさせたいという保護者と、子供にコーディングを習得させても大人になるころには無意味になっているという保護者に、意見が真っ二つに割れているという。

 同社は、学習の理解度を深めるという面にも配慮している。例えば、表計算ソフトで関数を使えるようになるには、解説を読んで理解したつもりでも、実際に業務に使うのは難しい。そこで、具体的事例などを通じて範囲や数値を変更して予想と合っているかを確認するという「試行錯誤」の結果、理解して使えるようになる。

 同氏は「新しいことを理解するには試行錯誤が必要であり、小学生の学習も同じである」とした。そのうえで、例えば小学2年生で学ぶ水のかさでは、リットル、デシリットル、ミリリットルの関係を学ぶのに合わせ、それを視覚的にプログラミングで試行錯誤させることで理解につなげるといった教材作りを行っているという。

 また、教材には解説も付いているため1人で取り組める。これはスマイルゼミに共通していることだが、既存のプログラミング教材では指導者や生徒同士の共同学習を前提としたものがほとんどだ。

 ◆アニメで理解深める

 内容に合わせたプログラミング体験の提供にも工夫を凝らした。水のかさについての教材であれば水のアニメーション、箱の形を学ぶ内容では転がす様子といったように、アニメ表現とプログラミング体験を一致させることで、より理解を深めることができる。

 18年3月の開講以降は、長期休暇中に取り組めるよう、春、夏、冬に教材を配信する予定だ。算数以外にも、理科や社会、音楽、家庭科といった教科も順次配信する。

 今後、教育現場を取り巻く環境が大きく変化する。2020年度(20年4月~21年3月)から小学校の新学習指導要領の全面実施と大学入学共通テストが導入されるほか、21年度から中学校で新指導要領の全面実施が行われる。加えて、来年春から移行措置期間に入る。

 同社ILS事業部マーケティング部の寺尾房代氏は「英語教育は小学校3、4年生で必修化され、5、6年生では教科となるほか、プログラミング教育の必修化が迫っている」と述べた。また、「大学入試でも、センター試験から新たな大学入学共通テストが導入され、TOEICなど英語民間試験の利用が始まる」と指摘したうえで、クラウド型通信教育サービスの需要が高まるとみている。

 廣庭氏によると、ITはおよそ次の流れで発展してきた。

 1970年代に愛好家がアセンブラで機械制御を行っていたのが、パーソナルコンピューティングにおけるプログラミングの始まりにより80年代にパソコンが登場。90年代から2000年代にはOS(基本ソフト)とネットワークの制御が主で、ハードウエアの知識が不要となった。10年代にはデータハンドリングが主なプログラミングの場で、ウェブブラウザーを通じたクラウドへとプログラミングが変遷していった。

 ◆将来的にAI活用を

 同氏は「いまの子供たちが2030年代に必要とされる力は何かというのは予想できないが、いまのITは過去のものとなっているだろう」と語った。このため、コーディングではなく、時代の変化に応じてITを効果的に活用できるよう、普遍的に求められる力を養うことがプログラミング教育では重要であると同氏は説く。

 文部科学省の「小学校学習教育指導要領解説 総則編」には「時代を越えて普遍的に求められる『プログラミング的思考』の育成が重要」であるとされている。同氏は「このプログラミング的思考は、課題を解決するための手段を考え、試行錯誤しながらより良い解決方法を探すといったことを論理的に考えていく力である」と説明した。

 ジャストシステムでは、プログラミング教育で(1)プログラミング的思考を体感する(2)プログラミングで教科の理解度を深める-という2点に焦点を当てて教材を開発した。

 プログラミング的思考の体感では、まず大ざっぱな課題を与えられたとき、人間は手順を意識しなくても達成できるが、機械にやらせる場合には、具体的な手順を考えなければならなくなるといった、手順化のプロセスを体感させるという。人と機械との間にある認識の大きな差異を認識させることで、最終的にはAI(人工知能)が「何をしてくれるのか」という理解にもつながるという。

 同氏は小学生のうちにプログラミングで身に付けてほしいこととして「課題の手順化や答えは1つではなく工夫の余地があることを体感し、将来的にAIを使いこなせる力を養ってほしい」と述べた。(インプレスウオッチ)

今、あなたにオススメ
Recommended by