「現状の政策を続けていても、31年度ごろのタイミングでは(物価上昇率は)2%に到達しないのではないか。そうした観点から、何らかの追加対応が必要。実体経済には労働・資本のスラック(緩み)が依然として残っているため、(現状の政策は)物価を押し上げるにはやや力不足」
「現状を踏まえると、追加緩和といったアクションを日銀が取っていく意味があるのではないか。物価上昇率が31年度に向けて2%に到達するというシナリオの蓋然性は、物価上昇率がかなり大きく加速していく局面が訪れないと、なかなか厳しいという状況だ。他方で、原油価格が上昇しているほか、その他の品目をみても物価が上がる要素が着実に出ているのも事実で、そこを合わせて見極めつつ判断していきたい」
「一部の小売り・飲食業者で値段を上げる動きが出ている。労働市場が逼迫(ひっぱく)している産業においては、人件費が高騰し、価格に転嫁しないと、採算がとれなくなっている動きもでている。一方で、逆の動きもあって、全体感をつかむのはまだ難しい」
「長期、超長期の金利低下を促すことによる金融緩和の効果については、いくつかの実証分析で、期待インフレ率やGDPギャップにプラスの効果があるとの結果が得られている。イールドカーブ(国債の利回り曲線)の形状自体が、経済や物価に与える影響についての調査研究はYCC(イールドカーブ・コントロール=長短金利操作)をやっているのが日銀だけであることもあり、発展途上ではある。ただ、米国市場に関する最近の研究では、長期の金利を下げると効果があるいう論文も出ている」