【スポーツbiz】相撲人気、回復努力が水泡に帰す懸念 (3/3ページ)

 危機感から改革断行

 それを変えたのは危機感をもつ関係者の努力である。巡業などでファンとの距離をつめ、入手の仕方がわかりにくかったチケット販売の工夫、ITを使った情報発信など、前例踏襲の相撲界とは思えないほど世間を意識した活動がみられた。とりわけ貴乃花親方は、自身への注目の高さも活用、精力的に動いていたことを覚えている。

 今回も事態究明が遅れれば、ファンの心が離れていく。日馬富士の進退、負傷後の調整不足で満足に土俵を務められない稀勢の里、鶴竜両横綱も状態次第で今後の予測はつかない。前人未到の幕内1000勝まであと30勝の白鵬も32歳、いつまで圧倒的な存在でいられるか。

 暴行問題と協会内にくすぶる不協和音、そして休場力士が増えている現実に手を打ち、世間を納得させられるか。公益財団法人の名にかけて、明確に答えを出さなければならない。(産経新聞特別記者 佐野慎輔)