地上30センチ、ドローンで農薬散布 ナイルワークス (1/2ページ)

ナイルワークスが開発した液肥・農薬散布用のドローン。地上30センチの高さで完全自動飛行ができる(同社提供)
ナイルワークスが開発した液肥・農薬散布用のドローン。地上30センチの高さで完全自動飛行ができる(同社提供)【拡大】

 ■生産性向上へ完全自動飛行

 ナイルワークスは、代表的な労働集約型産業といわれる農業の生産性向上に、高精度な飛行ができるドローンを使って貢献しようとしている。2019年の本格販売に向けて、同社が開発を進めているドローンは、完全自動飛行による液肥や農薬の精密な散布を目指しており、「空からの精密農業」という大きなイノベーションを起こしそうだ。

 同社のドローンは、搭載したカメラの映像から田畑の形状を認識し、作物からわずか30センチの至近距離で飛行しながら、液肥や農薬を散布できる。

 農薬の種類によっては、作物の上部や根元など、まく場所が異なるが、同社のドローンは、機体の4カ所にある上下2枚ずつのプロペラをそれぞれ逆方向に回転させることで、下向きの気流をコントロールし、農薬などを狭い範囲に集中して散布する。無駄に広い範囲にばらまくことなく、効果を最大限に発揮できるため、散布する量や回数は「従来方法の半分以下で済む」(柳下洋社長)という。

 今年10月には産業革新機構、住友化学、クミアイ化学工業、住友商事、全国農業協同組合連合会、農林中央金庫から総額8億円の資金調達を実施。実用化へ開発を急いでいる。18年には青森、秋田、岩手、山形、新潟、栃木、茨城、埼玉の各県に計15台のドローンを送り込み、使い勝手や性能などを調べる実証試験を行う計画。将来は種まきや1株単位の生育管理などにもドローンを活用する考えだ。

「完全自動飛行のため、ミスや墜落事故のリスクはほぼない」と自信