帝人、米に炭素繊維の新工場建設 航空機や自動車向け

 帝人は30日、米国に炭素繊維の新工場を建設する、と発表した。併せて実施する国内工場の増設費用を含む投資額は約350億円で、大半を米国工場に振り向ける。米サウスカロライナ州に用地を取得済みで、2020年度中の稼働を目指す。航空機や自動車向けに炭素繊維の需要が増えると予想される中、より顧客の拠点に近い場所で生産する必要があると判断した。

 米国工場建設に伴い、運営会社テイジン・カーボン・ファイバーズを年内に設立する。当初は年1000トンの炭素繊維を生産、その後は炭素繊維に樹脂を染み込ませた「プリプレグ」と呼ぶ中間材料なども手がける。また、三島事業所(静岡県長泉町)では原料となるアクリル樹脂「プリカーサ」のラインを増設、19年度中に生産を始める。

 帝人では現在、三島とドイツで炭素繊維を生産しているが、米国では行っていない。小山俊也常務執行役員は同日の記者会見で「(米国工場の建設で)日米欧の3極をベースにしたグローバル生産体制が整う」と述べた。

 帝人はまた、炭素繊維事業を手がける全額出資子会社の東邦テナックス(東京都千代田区)を18年4月1日付で本体に統合することも発表した。