「なぜ素人が」冷ややかな見方が的中 東芝のLNG債務、本当の危険度 (1/4ページ)

東芝の看板=東京都港区芝浦
東芝の看板=東京都港区芝浦【拡大】

 半導体子会社の売却先が決まり、東芝はギリギリのところで上場廃止をまぬがれた。だが、すべての問題が解決したわけではない。東芝にはまだ最大で1兆円の損失が発生する「LNG債務」があるからだ。なぜ東芝はこれほどのリスクを抱えてしまったのか--。

 債務超過が解消されず上場廃止もある

 東芝の上場維持を巡り、危惧されていた3つの問題が解決した。

 ひとつは「債務超過」だ。東芝は10月24日、臨時株主総会で半導体子会社「東芝メモリ」の売却を提案し、承認された。売却先は米ファンドのベインキャピタルを中心とした日米韓のコンソーシアム。これまで売却先をめぐって迷走を続けたが、売却が済めば約2兆円の資金が入る。さらに6000億円の増資も決まり、売却が遅れたとしても債務超過の心配はなくなる。

 2つ目は、今年6月の定時株主総会で報告できなかった2017年3月期決算だ。これも今回の株主総会で承認された。

 3つ目は、「特設注意市場銘柄」の解除だ。東京証券取引所は、内部管理体制に問題があるとして、2015年9月から東芝株を「特注銘柄」に指定していた。だが審査の結果、「内部管理体制は改善した」として、10月12日に指定を解除した。

 しかし東芝の抱える問題はこれだけではない。最大で1兆円の損失が発生する案件を、まだ抱えているのだ。それは2013年に結んだ米国産LNG(液化天然ガス)の大型契約である。

天然ガスには大きく2つの輸送方法がある、しかし―――