子育て支援の3000億円負担要請 日商は「容認せず」 経団連受け入れで経済界足並みそろわず

日本商工会議所の三村明夫会頭
日本商工会議所の三村明夫会頭【拡大】

 政府が進める子育て支援など2兆円規模の政策パッケージで、経団連の榊原定征会長は、安倍晋三首相から要請された3千億円の拠出に同意した。しかし、中小・零細企業を主要会員とする日本商工会議所は「容認しない」姿勢を崩しておらず、政府と経済界の水面下の綱引きが続いている。

 3千億円の拠出金は、子育て支援資金の一部に充てられ、従業員の賃金総額に対し一律に徴収される。大企業と中小企業の区別はなく、赤字企業からも徴収する。現在の負担割合は0・23%で約4千億円が拠出されており、今回の3千億円が加われば、負担割合は0・45%に上昇し、経済界の負担は計7千億円となる。

 月例賃金が25万円の従業員の場合、現状は1人につき月600円弱(年7千円程度)を企業が負担しているが、ほぼ2倍の負担になる。

 榊原氏は11月30日に開かれた政府の会議で、消費税増税を前提に、3千億円分の負担受け入れを安倍首相に回答した。女性の活躍や子育て支援は企業にも恩恵が大きいと判断。安倍首相も謝意を表明した。

 「財界総理」と呼ばれる経団連会長が受け入れたことで、経済界の“総意”のようにみえるが、実情は、経済団体で温度差がある。

 経団連に加え、大企業の経営者の多くが個人の資格で会員になる経済同友会も、小林喜光代表幹事が3千億円の拠出に前向きな姿勢を示す。

 これに対し、日商の三村明夫会頭は「人手不足のため、引き抜き防止などの防衛的な賃上げを余儀なくされている中小企業に(3千億円の)新たな負担は厳しい」と説明し、慎重な姿勢を崩していない。

 そもそも、4千億円の6割を負担する中小企業に対し、3千億円の追加負担の説明が不十分なことも問題視している。

 このため、政府は今後、中小企業向けに新たな支援策や減税措置を講じるなどして、日商を説得する必要がありそうだ。

 経済界は、負担を企業だけに押しつけないよう国にも強い財政規律を促している。(平尾孝)