【eco最前線を聞く】OKI 外部電源不要、太陽電池で水位計測

OKIが開発したゼロエナジー超音波水位計
OKIが開発したゼロエナジー超音波水位計【拡大】

 □OKI 情報通信事業本部シニアスペシャリスト・岡本武志氏

 OKIは、電波応用や計測機器などの開発から販売まで手がける静岡OKI(静岡県沼津市)と、河川や市街地の水位状況を常時計測するネットワーク型「ゼロエナジー超音波水位計」を開発、販売を始めた。電源に太陽電池を採用することで、水位を測る超音波センサーを動かすための外部電源を不要とした。太陽光発電による水位計の製品化は同社として初めて。OKI情報通信事業本部シニアスペシャリストの岡本武志氏は「ゼロエナジー」と名付けた理由について、「太陽光パネルを搭載しており、自分で発電して消費する。しかもフル充電すると天候が悪くても30日間動かせる」と説明した。

 ◆工事費5分の1に

 --太陽光発電を採用した理由は

 「太陽光発電は技術的に確立されており安心で、安定的に発電できる。さらにパネルは市販されているアモルファスタイプで安く調達できる。従来は水位観測用局舎からケーブルを引いていたが、電柱は河川から遠く、河川敷も広いので工事は大変。太陽光発電を採用すると外部電源が不要になり、しかも水位データは無線で送信されるため通信線の工事もいらない。このため工事費を大幅に削減でき、当社比では5分の1に抑えられる」

 --ゼロエナジー水位計の開発に取り組んだ経緯は

 「近年、異常気象による局地的豪雨が増加しており、河川の氾濫も相次いでいる。しかし自治体による中小河川への水位計設置率は予算的な制約などから低く、増水などによる市街地への冠水被害が増えている。このため水位計の需要はあると考え企画化。ちょうどそのときに2015年9月の関東・東北豪雨による鬼怒川の氾濫で危機感を抱いた国土交通省がクラウド接続、IoT(モノのインターネット)、100万円以下の販売価格をテーマに水位計開発プロジェクトを開始した。そこでエネルギー源を太陽光とするゼロエナジー水位計の開発に乗り出した。このプロジェクトには21社が12チームに分かれて参加、互いの技術を持ち寄るオープンイノベーションで開発した」

 ◆「見に行く」も不要に

 --反響は

 「10月2日に発売したが、県や市町村から問い合わせが来ている。価格を気にしている自治体が多いが、ゼロエナジー水位計の標準価格は99万円(税抜き)。工事費も抑えられるので予算的にも必要な場所に設置できるようになるはずで、水位計の普及につながる。18年3月から提供を始めるが、年間200セット、19年度末までに累計400セットの販売を見込んでいる」

 --河川の氾濫による被害が減ると期待される

 「水位計を設置していないところには『見に行く』しかなかったが、水位データを無線で送れる水位計を設置することで、その必要がなくなる。しかも集中豪雨による急な河川の水位上昇をリアルタイムで監視できるので管理者は早く住民に伝えられる。それだけ早期の避難誘導活動に生かせ、防災につながる。判断材料がないので『見に行く』わけで、水位計の設置は水位異常の『見える化』をもたらす」

 --課題は

 「太陽光パネルはもっと小さくできる。すると消費電力も少なくなる。じわじわためて、少なく使うという2本建て技術でエネルギーコントロールも改良できる」(松岡健夫)

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【プロフィル】岡本武志

 おかもと・たけし 大阪大学基礎工学部卒。1986年OKI入社。2004年公共システム本部システム第4部部長、13年交通防災システム事業部システム第3部部長、17年から現職。55歳。大阪府出身。