二輪各社、新興国で“快走” スクーターなど好調 持続的成長へ課題も

東京モーターショーのホンダのブース
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 国内二輪メーカーが新興国での販売を順調に伸ばしている。インドやインドネシア、ベトナムなどで現地ニーズをとらえて販売台数を拡大、収益性の向上も進んでいる。二輪車事業の好調を背景にホンダ、スズキ、ヤマハ発動機の3社は2018年3月期の業績予想を上方修正した。

 ホンダは、18年3月期にグループの二輪販売で前期比8.6%増の1918万台を計画する。新興国での販売増を受けて先月、従来見通しから41万台引き上げた。倉石誠司副社長は「インドとベトナムが好調だ。インドネシアも含め、収益性の高いスクーターが伸びている」と説明する。

 ヤマハ発も、1~9月期の新興国での二輪事業の売上高が前年同期比15.8%増の5812億円と膨らんだ。このうち4133億円を占める東南アジアについては、ベトナム、フィリピンで市場の成長率以上に販売が伸びている。

 主力市場のインドネシアは総販売台数こそ前年実績を下回っているが、高価格帯の商品は好調だ。コスト削減も進み、東南アジアでの二輪車事業の営業利益率は9.2%と、2年前の2倍近くに向上し、業績全体を牽引(けんいん)している。

 スズキは、4~9月期の二輪車の世界販売が前年同期比18.8%増の79万7000台となった。同社の二輪事業は赤字体質に苦しんできたが、インドや中国、インドネシアなどでの販売増を追い風に、7億円の赤字だった前年同期から37億円の黒字に転換した。

 ただ、スズキは「在庫の問題、商品力の強化という課題がある」(鈴木俊宏社長)としており、安定的な黒字化にはまだ多くのハードルを抱える。ヤマハ発も「インドネシアでの低価格モデルは、費用をかけなければ販売が進まない」としており、個別の地域、車種ごとには課題も残っている。

 市場拡大の後押しを受け、3社の快走は当面続きそうだが、持続的な成長に向けてはさらに高度な戦略も求められそうだ。(高橋寛次)