東芝、半導体売却で米提携先との係争解決協議が山場 「7、8合目」も予断許さず (2/2ページ)

東芝メモリをめぐる東芝と米WDの対立
東芝メモリをめぐる東芝と米WDの対立【拡大】

 裁判で売却が差し止めになれば、東芝は売却益で債務超過を解消できずに上場廃止になる懸念があった。WDは訴訟をテコに協業や東芝メモリ経営の諸条件で東芝から譲歩を引き出そうとしていた。だが、東芝が11月19日に約6千億円の増資を決め、裁判の結果によらず上場廃止を回避できる見通しになると、局面は東芝優位に大きく変わり、和解協議が本格化した。

 東芝はWDが四日市工場の第6棟での次期投資に参加する条件として、▽訴訟の取り下げ▽新たな合弁契約の締結▽東芝メモリの買い手との円滑な協業-を求めている。

 WDは投資に参加できなければ、第6棟で今後生産する最新鋭の半導体メモリーを調達できず、経営に深刻な打撃となる。東芝は折り合えなければ、単独投資に踏み切る意向で、WDに決断を迫っている。

 両社の和解が実現すれば、東芝メモリ売却が頓挫するリスクが薄まり、東芝の経営再建は大きく前進する。東芝メモリは米ファンド主導の「日米韓連合」が買収の手続き中。係争が終結すれば、官民ファンドの産業革新機構や日本政策投資銀行も資本参加する計画だ。