東芝はWDが四日市工場の第6棟での次期投資への参加する条件として、▽訴訟の取り下げ▽新たな合弁契約の締結▽東芝メモリの買い手との円滑な協業-を求めている。
WDは投資に参加できなければ、第6棟で今後生産する最新鋭の半導体メモリーを調達できず、経営に深刻な打撃となる。東芝は折り合えなければ、単独投資に踏み切る意向で、WDに決断を迫っている。
両社の和解が実現すれば、東芝メモリ売却が頓挫するリスクが薄まり、東芝の経営再建は大きく前進する。東芝メモリは米ファンド主導の「日米韓連合」が買収の手続き中だが、係争が終結すれば、官民ファンドの産業革新機構や日本政策投資銀行も資本参加する計画だ。
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■東芝メモリの売却をめぐる東芝と米WDの対立
2月14日 東芝が半導体メモリー事業の売却方針を表明
4月 1日 東芝が同事業を分社化し、「東芝メモリ」を発足
5月15日 WDが国際仲裁裁判所に売却差し止めを申し立て
6月15日 WDが米裁判所に売却差し止めを求めて提訴
6月21日 東芝が日米韓連合を優先交渉先に決定
6月28日 東芝がWDに対して損害賠償を求め東京地裁に提訴
8月 3日 東芝が四日市工場の第6棟で第1期の単独投資を決定
9月28日 東芝が日米韓連合と売却契約を締結
10月24日 東芝の臨時株主総会で東芝メモリ売却を承認
11月 東芝とWDが和解と四日市工場第6棟の第2期の共同投資に向けた協議を本格化