良質で割安の「リノベ物件」首都圏で急増 薄まる新築へのこだわり (3/4ページ)

「グランディーノ駒込」の専有部。最新の部材を取り入れることで新築同様の洗練された空間によみがえった=東京都豊島区
「グランディーノ駒込」の専有部。最新の部材を取り入れることで新築同様の洗練された空間によみがえった=東京都豊島区【拡大】

  • ミサワホームは築36年の専門学校を賃貸マンションに用途変更する工事を進めている=東京都千代田区

 提携に基づき、三井不動産は既に2カ所で再生を手掛け、このうち1977年に建てられた練馬区内の共同住宅は、新築工事と比べて70%程度のコストに抑えて再生し、周辺の家賃相場よりも高い水準が見込める物件に変身させた。

 また、ミサワホームは千代田区で築36年の専門学校を賃貸マンションに用途変更する工事を進めている。住戸は3.1メートルの高天井やロフト付きのプランを設定するほか、エントランスや内階段などを新設。完成は18年2月を予定している。現在、東京では新国立競技場(新宿区)の建設工事が本格化し、都心では大手町や虎ノ門をはじめとして大型の再開発工事が着々と進むなど、20年の東京五輪を見据えた開発が活発になっている。

 資材少なく価格抑制

 これに伴い、素材メーカーによる値上げ圧力が強まると見込まれているのが、H形鋼をはじめ生コンクリート、合板といった建設資材で、値上げ分の転嫁で新築マンションは高根の花となる可能性も出てきている。その点、リノベーションマンションは資材の使用量が少なくて済み、価格を抑制できるため「都心部の地価の高いエリアで強みを発揮できる」(大手デベロッパーの担当者)と見込まれる。

 東日本不動産流通機構によると16年度の首都圏中古マンションの平均成約価格は3078万円。新築物件のほぼ6割の水準だ。景気拡大が続き新築物件に大きな値崩れ要素が見当たらない市場では、ストック(既存物件)の再生ビジネスに一段と拍車がかかりそうだ。(伊藤俊祐)

首都圏マンション価格の推移