【日本発!起業家の挑戦】医師の負担の少ない時間にMRから情報収集 コミュニケーション効率化 (5/5ページ)

MRと医師のコミュニケーションの効率化を図るマーティ・ロバーツ氏
MRと医師のコミュニケーションの効率化を図るマーティ・ロバーツ氏【拡大】

 「社員の採用に関しては、そこまでの苦労はありませんでした。私たちの取り組もうとしていることの価値を理解し、課題解決に加わりたいと考える人が業界内にたくさんいました。ただ、医療・製薬業界外の人に納得してもらうにはもう少し時間がかかりました。それでも、一度理解するとエンタッチで働きたいと言ってくれる人はたくさんいました。スタートアップ界で存在を知られていなくても、初めての起業であっても、ビジョンに共感してくれる人を見つけることができれば、よい会社を築き、成長させることができると思います」

 日本でスタートアップを始める創業者のうち、かなりの割合が米国やヨーロッパで業界のトレンドを観察している。そして、日本でも同じトレンドが5年後に採用されることを信じてサービス提供を始め、実際に成功している。ロバーツ博士のケースでは、保守的な製薬業界であったので、変化の波がやってきたのは15年後だった。

 国内の産業界では、テクノロジーの有用性が海外で実証されるまでは、積極的に採用することを控える傾向にある。しかし、ロバーツ博士が前職で気付いたとおり、ようやく扉が開かれても、テクノロジーを日本にただ持ってきて売れることを予測したのではうまくいかない。海外とは異なる組み合わせによる商品のパッケージ化、業界内・市場内での位置付けの工夫がなければ日本での成功が難しい場合が多い。

 セジデムでの経験によって、ロバーツ博士は、米国では必要ないサービスでも、国内の顧客が要求するサービスであればセットにする必要があることを理解した。エンタッチでは、MRが「メディカルパートナー」として登録後に4週間のトレーニングを受講することを義務付けている。優秀な人材を集め、トレーニングによってさらにサービスの質を高める工夫により、エンタッチの成長は加速するだろう。医療・製薬業界の効率化によって患者にもよい影響があることを期待したい。

 文:ティム・ロメロ

 訳:堀まどか

【プロフィル】ティム・ロメロ

 米国出身。東京に拠点を置き、起業家として活躍。20年以上前に来日し、以来複数の会社を立ち上げ、売却。“Disrupting Japan”(日本をディスラプトする)と題するポッドキャストを主催するほか、起業家のメンター及び投資家としても日本のスタートアップコミュニティーに深く関与する。公式ホームページ=http://www.t3.org、ポッドキャスト=http://www.disruptingjapan.com/