【論風】自動車電動化とエネルギー問題 国際市場の形勢一変も (1/3ページ)

 □日本エネルギー経済研究所常務理事・小山堅

 先進的・革新的技術の開発と普及は社会や経済のあり方を変化させる。今その関連で最も注目されることの一つが、電気自動車など次世代自動車の急速な普及への期待に関わる問題だ。

 今年7月、仏英両国が、2040年から内燃機関自動車(ガソリン車・ディーゼル車)の新車販売禁止を相次いで打ち出し世界を驚かせた。ガソリン・ディーゼル消費を減らし二酸化炭素(CO2)や大気汚染物質の排出抑制を狙う、環境対応への取り組みである。

 背景に技術進展や産業育成

 これを受けて、世界最大の自動車市場である中国や今後の巨大市場インドでも、同様に内燃機関から先進型自動車へのシフト推進政策が発表された。

 自動車産業も取り組みを加速している。19年から新車販売を全て電気自動車、プラグインハイブリッド車(PHV)などの電動車にすると発表したスウェーデンの大手ボルボのように、各メーカーは自動車電動化を目指す戦略を矢継ぎ早に発表している。

 電動化への期待の背景には、自動車用蓄電池性能向上とコスト削減、それに伴う電気自動車の航続距離拡大と販売価格低下など技術の進展・改善もある。また中国のように、次世代自動車を国家戦略の観点で産業育成する動きとそのためのインフラ・制度整備への取り組み実施も影響している。

自動車の将来は経済・産業問題全体の観点から極めて重要