こいのぼり、「ミトコンドリア病」治療薬開発 日本初、患者家族中心に創薬事業 (1/2ページ)

(右から)こいのぼり代表の菅沼正司・菅沼医院院長、同理事で7SP代表の篠原智昭氏、7SPに参加する京都府立医科大大学院の五條理志教授
(右から)こいのぼり代表の菅沼正司・菅沼医院院長、同理事で7SP代表の篠原智昭氏、7SPに参加する京都府立医科大大学院の五條理志教授【拡大】

 難病である「ミトコンドリア病」の治療薬を開発し、商業ベースにまで引き上げよう-。一般社団法人こいのぼりが、こんな社会的課題に挑戦している。この取り組みは「7SEAS PROJECT(セブンシーズ・プロジェクト、7SP)」と名付けられた。医師で菅沼医院(愛知県豊田市)の菅沼正司院長がこいのぼり代表を、娘がこの難病にかかっている篠原智昭こいのぼり理事が7SP代表をそれぞれ務めている。患者数の少ない難病は意欲的な専門医や研究者がいたとしても、医薬品メーカーなどがあまり積極的にならないことが多いという。このため7SPは、独自に研究を続け、創薬にこぎ着けようと考えた。

 特許取得目指す

 ミトコンドリアは細胞の中にある小さな器官で、エネルギーを産生する働きがある。その働きが落ちると細胞の活動が低下。脳の神経細胞であれば見たり、聞いたり、物事を理解したりする力が下がり、筋肉細胞なら運動機能が低下したり、疲れやすくなったりする。こうしたミトコンドリアの働きが落ちることによって起きる疾患の総称が、ミトコンドリア病と呼ばれている。

 原因となる遺伝子異常には、ミトコンドリア固有の遺伝子変異と細胞核の遺伝子変異がある。極めて多彩な症状を呈する疾患で、まだ治療法がない。

 このため学際的なアプローチをすべく、研究チームには大学の医学部や薬学部のほか、農学部、工学部、パートナー企業などの研究者らが参画。7月から多角的な研究が本格化した。

患者の家族が中心となり創薬事業に乗り出す日本初の試み