【木下隆之のクルマ三昧】師走の風物詩「日本カー・オブ・ザ・イヤー」は、誰がどうやって決めるの? (1/4ページ)

 「日本カー・オブ・ザ・イヤー」(以下COTY)はもはや、自動車業界における恒例の年末行事である。COTYの声を聞くと、厚手のコートを一枚羽織りたくなるし、年賀状の準備を進めたくなる。不肖この僕もCOTY選考委員として末席を汚す身であり、年の瀬の慌ただしさとともに師走の風物詩なのだ。

 「あの車、乗った」

 「大賞候補だよね」

 「あの技術は世界レベルだね」

 「今年を象徴すると思うよ」

 自動車業界の関係者の間では、そんな会話でもちきりなのである。

 COTYは1980年に、自動車業界の有識者によって創設された日本でもっとも権威ある自動車賞で、今年が第38回。年間を通じてもっとも優秀なモデルには大賞が、つまり「日本カー・オブ・ザ・イヤー」のタイトルが与えられる。専門家のお墨付きを得たようなもので、販売にも結びつくことだろう。自動車メーカーにとっては、喉から手が出るほど欲しい賞なのだ。

「10BEST CAR」が勢ぞろい。この中から大賞が選ばれる

「10BEST CAR」が勢ぞろい。この中から大賞が選ばれる

 第1回の大賞は「ファミリア」

 37年前の第1回に初めて大賞に輝いたのは「マツダ・ファミリア」だ。50歳代の方なら思い出深いはず。真っ赤なファミリアは一世を風靡した。

 翌年は、ハイソカーブームの火付け役となった「トヨタ・ソアラ」が受賞。第18回は「トヨタ・プリウス」。世界初のハイブリッドカーであり、これまでの最多得点だったと思う。一昨年は「マツダ・ロードスター」が二度目の受賞。過去の受賞モデルからも想像できる通り、その年を象徴したモデルが大賞に輝いているのである。

第一次選考で「10BEST CAR」を選出