東芝、WDと和解大筋合意 経営再建へ前進 米投資ファンド「決裂可能性低い」

東芝本社が入るビル=東京都港区
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 米投資ファンドのベインキャピタルの杉本勇次日本代表は7日、フジサンケイビジネスアイの取材に応じ、東芝と米ウエスタン・デジタル(WD)が東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却をめぐる対立を解消し、和解することで大筋合意したと明らかにした。近く最終合意して両社とも売却をめぐる訴訟を取り下げる見通しで、東芝の経営再建は大きく前進しそうだ。

 ベインは東芝メモリを買収する「日米韓連合」を主導しており、東芝とともに東芝メモリの売却差し止めを求めた訴訟などについてWDと和解に向けて協議している。杉本氏は「(和解の)諸条件でほぼ合意し、(合弁の)契約の文言などの微調整をしている段階」と述べ、協議が決裂する可能性は「極めて低い」との見解を示した。

 対立に伴い、東芝は三重県四日市市の半導体工場に建設中の新棟での設備投資を単独で行うことを決めたが、和解により「既存の(工場での合弁生産の)枠組みで契約を延長する」として、共同投資を再開する。岩手県北上市で来年着工する新半導体工場でも共同投資する。投資や生産配分は東芝6割、WD4割とする方向だ。

 また、WDは、東芝メモリの買収に参加する韓国半導体大手SKハイニックスの経営や生産への関与を警戒していたが、関与させないことで一致したという。

 WDは東芝メモリの上場時に、ベインが保有する株をSKなど同業に売却することも懸念したが、杉本氏は「市場で売却する」と述べた。