Kudan「SLAM」技術 2次元画像から3次元画像生成 (1/2ページ)

「KudanSLAM」を通して見た、カメラで撮影した2次元画像。リアルタイムで3次元画像の生成と自己位置推定が同時にできる(同社提供)
「KudanSLAM」を通して見た、カメラで撮影した2次元画像。リアルタイムで3次元画像の生成と自己位置推定が同時にできる(同社提供)【拡大】

 ■リアルタイムで自己位置推定

 ソフトウエア開発ベンチャーのKudan(クダン)が開発を進めている空間・立体認識技術「SLAM」が半導体やセンサー分野の技術者の間で注目を集めている。コンピューターに「眼」の機能を持たせることができる「コンピュータービジョンと呼ばれる技術」(大野智弘社長)で、自動運転やロボティクスなどのあらゆる産業分野での活用が見込めそうだ。

 SLAMは、深度センサーや複眼カメラを使わずに、空間認識を行うソフトウエア技術。カメラで撮影した2次元画像からリアルタイムで3次元画像の生成と自己位置の推定が同時にできる。3次元で物体や空間が認識できるようになれば、機械や端末本体が人のような「眼」を持てるようになる。

 人の場合、主に視覚から得た2次元情報を基に、右脳でコントロールされて3次元的に“見える”ようになる空間認識の能力がある。SLAMは、この右脳にある機能にたとえることができるという。

 KudanのSLAMは、AI(人工知能)との組み合わせで自動運転やロボティクスなどの分野での活用が期待できるとともに、さまざまなIoT(モノのインターネット)端末との連携で、インフラから乗り物までを統合したスマート都市交通システムの構築にも役立ちそうだ。

 Kudanは、2011年1月、英国のブリストルで創業。14年11月に日本法人を設立し、このとき日本法人を親会社、英国法人を子会社と位置づけ、両拠点で技術開発を進めてきた。

 大野社長は経営コンサルティング、アクセンチュアの出身。06年にロンドンのゲーム開発ベンチャーの立ち上げに参画。その後事業を売却し、Kudanを起業した。

 日本法人設立を機に複数の個人投資家から約1億円の資金を調達。昨夏にも総額約2億円の調達に成功した。いずれもSLAMの開発に投じている。