【スポーツbiz】ブランドを守る 傷はいずれ打撃に (3/4ページ)

IOC理事会であいさつするバッハ会長=5日、スイス・ローザンヌ(ロイター=共同)
IOC理事会であいさつするバッハ会長=5日、スイス・ローザンヌ(ロイター=共同)【拡大】

 失礼ながら、実体のない空気を売っているわけだ。だからこそ、イメージを傷つけてはならない。厳しく細かく扱いを規定し、事にあたる理由である。

 日本ハムからポスティングシステムを使い、米大リーグ、アナハイム・エンゼルス入りした大谷翔平投手は、というか代理人を含む大谷サイドは実に見事な交渉能力を示した。

 交渉開始から1週間で結論を出した。金額を含む条件をつり上げるため、ごねたり、思わせぶりな態度を取ったりすることもなく、さわやかに契約し、記者会見に臨んだ。こうした態度がいい方に働かない訳はない。

 関西大の宮本勝浩名誉教授は9日、大谷のエンゼルス入りによる日本とアメリカにもたらす経済効果を、207億5000万円と算出した。

 観客動員の増加による放送権料や広告料収入の上昇。観戦のための交通費、飲食費などファンが支払う金額の増加。日本のファンが観戦ツアーに参加する旅行費用といった直接効果に、二次的な波及効果を合わせた試算である。

 ◆価値のアピール

 そこに大谷を取り巻く歓迎ムード、あるいはイメージの高騰が加われば、さらなる効果が期待できるだろう。スマートな振る舞いが後押しする。

 その逆が、元横綱日馬富士による貴ノ岩殴打事件に右往左往する日本相撲協会である。

 情報不足は確かにあるだろうが、事件が発覚した後の動きはほとんど後手にまわった。貴乃花親方の後に引かない対応もあって実情究明が遅れ、大相撲のイメージは著しく低下した。

 九州場所後の巡業は依然、人気の高さを示したが、この状態が続けば、いつまでファンの心をつなぎ止めておけるか。たとえ来月の初場所は影響がみられなくとも、いずれボディーブローのように利いてこよう。

 観戦客の足を止め、大相撲ブランドに傷がつく前に、協会は内に外に動く必要がある。