【高論卓説】フィンテックで忍び寄るアリババ (1/2ページ)

 ■海外異業種の邦銀業務参入に備えを

 11月上旬、トランプ米大統領のアジア歴訪に同行した米大手証券会社幹部は、訪中後に再び日本に立ち寄り、クライアントである大手機関投資家を訪ねた。その際、この米証券幹部は中国での驚きの経験を披露したという。

 それはトランプ大統領とともに訪れた「万里の長城」での出来事だった。世界的に有名な観光地ということもあるのだろう、地元の農家の女性が観光客相手に地獲り野菜を売り歩いていた。せっかくだからとこの幹部は、いくつかの葉物野菜を買ったのだが、驚いたことに支払いは電子決済だった。中国では地方の農家まで電子決済が普及していることに驚愕(きょうがく)したこの幹部は、対中戦略を見直すべきだと繰り返し力説したという。

 中国ではスマートフォンが急速に普及し、それに合わせて電子決済が驚くべき速さで津々浦々に浸透しつつある。インフラを提供するのは、電子商取引(EC)の巨人となったアリババとテンセントだ。中国での小売市場におけるECの市場シェアは、既に米国を抜き15%程度にまで急上昇している。アリババの電子決済サービス「アリペイ(支付宝)」の利用者は5億人を超え、馬雲(ジャック・マー)最高経営責任者(CEO)は2036年までに20億人まで拡大させる計画を描く。

 もともと中国ではクレジットカードが普及していないこともあり、ECの顧客はアリババの「アリペイ」やテンセントの「ウィーチャットペイ」などのモバイル決済サービスを使う。両社は、この決済で蓄積した膨大なモノとお金の流れに関するビッグデータを生かした小口の融資事業も展開している。アリペイの1日当たりの決済件数は2億件前後に上る。グループ傘下の「アント・フィナンシャル」が手掛ける人工知能(AI)を駆使した小口融資「網商貸」は急拡大している。

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