マック躍進、米国流決別が出発点 「V字回復」にカサノバ社長の発想転換 (4/4ページ)

新メニューの発表会見で店員らと写真撮影に応じるサラ・カサノバ社長(中央)=2015年10月、東京都内
新メニューの発表会見で店員らと写真撮影に応じるサラ・カサノバ社長(中央)=2015年10月、東京都内【拡大】

 一連の戦略を担う足立光上席執行役員マーケティング本部長は、若者にとってのインフラであるツイッター(短文投稿サイト)で話題の拡散を図り、キャンペーン開始後はテレビCMで一気に広げた。その成功の秘訣(ひけつ)をこう明かす。

 「『消費者参加型』であり、同時に『ツッコミどころ満載』であること。いやでも(消費者の)頭の片隅に引っかかるようにすることが鍵だ」

 来年以降に店舗拡大

 こうした試みが奏功して、16年12月期に最終黒字に転換。V字回復を成し遂げたカサノバ氏は、今年8月の6月中間決算の記者会見で「ビジネスの基盤ができた。投資をさらに増やす」と語り、来年以降に店舗拡大へ転じる考えを示した。

 マクドナルドは、02年の3891店をピークに店舗数を減らし続けてきた。今年9月末時点で2897店と約3割も規模が縮んでいる。収益力を確保するため不採算店を整理してきたが、来年に出店数が閉店数を上回れば10年ぶりの純増となり、大きな転換点を迎える。一方で、業界全体が直面している人手不足や長期的な人口減少など課題も多い。

 カサノバ氏は、全国の顧客との対話を通じ「マクドナルドに求められているのは、安さより楽しさだ」と分かったという。その魅力を保ちつつ、拡大路線の軌道に再び乗ることができるかどうか、引き続き同氏の手腕に多くの視線が注がれている。(山沢義徳)