九州人が「うまかっちゃん」を偏愛する理由 「味」変わらないのになぜ人気? (3/4ページ)

 「最も人気が高いのは定番品ですが、一方で『違う味も食べたい』という消費者心理もあります。熊本ではにんにく系が人気で、鹿児島なら焦がしねぎが好まれるといった地域性や、時代性を見据えて新しい味も出してきました。その陰で、長崎県を意識した『うまか皿うどん』など、成功しなかった商品も多くあります」(同)

 1998年からは、ほぼ毎年、期間限定品や新商品を出してきた。こうした“地元っ子に寄り添う姿勢”も支持を集めるのだろう。

 発売の経緯も興味深い。1978年当時、ハウスの即席めんは売り上げが伸びず、福岡工場では、生産計画のない日は工場内の草むしりをするほど時間を持て余していた。そんな時期、ラーメン担当プロダクトマネージャーに、福岡工場長からの「社員食堂で社員もハウスのラーメンを食べない」という言葉が耳に突き刺さった。

 「同時期に、当時の営業担当者からも『九州で売れるラーメンを開発してほしい』という声が上がっていたのです。今でもそうですが、九州は袋めんの需要が高い。棒ラーメンも人気ですが、チルドのラーメンは少ない土地柄。支店長会議も重ねて検討し、本社に提案した結果、経営トップから『とんこつ味のラーメンを4カ月以内に開発せよ』という指令が出ました。そこで関係者が、九州各地のラーメン店を20店以上食べ歩きながら、スープを開発していったのです」(長江氏)

 「こらウマカ」が、「うまかっちゃん」に

 スープの味を決める際には、福岡支店と福岡工場も協力し、地元の主婦による試食テストも実施した。こうした商品開発は今では珍しくないが、40年前の話だ。商品名も社内や広告代理店から1000近い案が上がり、当初は「こらウマカ」を考えた。

「ノスタルジー消費」