「早期決断はビジネスの基本」なのに… なぜ日本企業は撤退を決められないのか (4/7ページ)

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 ほぼ、外堀(だけでなく、内堀までも)が埋まった上で、「3-5ルール」に基づく事業採算性の検討が、経営企画部等の担当部署に依頼されることになる。担当部署は、提案された投資案に成算があるかどうかを、プロフェッショナルとして検討し、検討結果をトップマネジメントに答申するのが業務である。しかし、トップマネジメントが是非とも実施したいと考えている投資案に問題がありと明らかになったときにでも、それをトップマネジメントにありのままに伝えてきただろうか。

 正直に分析結果をトップマネジメントに伝える企業は健全である。しかし、そのような企業はそれほど多くはない。トップの方針が決まっている以上、それをサポートする情報を提供しなければならないと考える傾向が強い。「上司やトップマネジメントの意向に沿ったシミュレーションやレポート作成を行ったことがあるか」とこれまでになんども社会人大学院生に質問したことがある。驚くべきことに、7割を超える人たちが「そのような経験がある」と回答している。

 「3-5ルール」が存在する企業では、採算性には問題があるにも関わらず、「3年で単年度黒字、5年で累積損失一掃」となるように、計算数値を操作してしまうのである。このような行動が、投資の失敗につながる。

 投資案が戦略実現のために必要で、採算性に問題がないという根拠データ(それが机上の計算で、現実的でない場合でも)があれば、そして、取締役会に投資案が上程されるまでに慎重に検討が加えられていれば、ほぼ提案は承認されることになる。これは、あしき予定調和である。

トップマネジメントの意向に沿おうとする気遣いが「忖度」に