「早期決断はビジネスの基本」なのに… なぜ日本企業は撤退を決められないのか (7/7ページ)

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 相場の格言にも「見切り千両、損切り万両」というものがある。優れた経営者や成功している起業家は「早期撤退はビジネスの基本」であることを知っている。しかし、このような人は多くはない。そこで、次に示すような方策を持つことが大切になる。

 その方策とは、投資案の採択と合わせて、投資後の事態を見ながら、Go/Not goを判断するルールを確認しておくことである。具体的には、累積損失が一定額に到達した時に、採択された投資案に対してどのような対応をするかを、例外を認めずに審議すると決めるのである。累損を積み上げながら、そのまま放置されている投資が少なくないので、このルールを決めておくだけで、問題を俎上に載せる効果がある。トップマネジメントも判断ミスをする。それは、ありうることである。トップマネジメントの仕事は、GOだけではない。Not goを決めることも大切な仕事である。

 適切な判断を行うためには、その時点で撤退をする場合について、後処理業務の網羅的リスト、後処理に必要となる経営資源、事業撤退に必要な期間などの情報が必要となる。また、事業等を継続する場合に必要な措置に関する諸情報、テコ入れのために追加投資を行うなら、追加投資に関する情報を準備する必要があることは言うまでもない。投資は企業の将来を左右する極めて重要な意思決定である。それゆえに、投資を判断するだけでなく、うまくいかなくなったときの上手な撤退方法についても、投資決定時にあらかたは決めておくことが必要である。

 加登 豊(かと・ゆたか)

 同志社大学大学院ビジネス研究科教授(神戸大学名誉教授、博士(経営学))

 1953年8月兵庫県生まれ、78年神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程修了(経営学修士)、99年神戸大学大学院経営学研究科教授、2008年同大学院経営学研究科研究科長(経営学部長)を経て12年から現職。専門は管理会計、コストマネジメント、管理システム。ノースカロライナ大学、コロラド大学、オックスフォード大学など海外の多くの大学にて客員研究員として研究に従事。

 (同志社大学大学院ビジネス研究科教授 加登 豊)(PRESIDENT Online)