【エコスタイルのエコBIz】地域に根差した再生エネ開発


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  • 再生エネ電力の地産地消

 ■災害時は近隣住民の拠点に活用

 2012年7月に固定価格買い取り制度法(FIT)が施行されたことで、再生エネルギー電源は太陽光発電を中心に飛躍的に伸びたが、太陽光発電は気象条件により発電出力が左右される不安定電源であり、九州電力管内では再生エネ電源を電力系統へ接続するための申請手続きが制限される事態となった。

 今後は出力制御機能を持つ発電設備でなければ設置ができない地域も出てくることも考えられる。このように電力業界全体の問題として再生エネ電源のさらなる普及には課題も多い。

 ◆誰もやらない悪循環

 これに対し16年4月に閣議決定されたエネルギー基本計画ではさらなる再生エネ電源設備の導入促進を目指して、地域が主体となって開発する中小水力発電や、小規模地熱発電などの再生エネを使って分散型エネルギーシステムを構築。地域活性化と災害時のエネルギー供給力の確保を推進する方針が示された。

 一方で、実際に小水力発電所を建設しようとした場合、小規模の河川管理は自治体が行っており、自治体からの許可が必要となる。そもそも水の管理は、その歴史において治水を中心に考えられてきた経緯があり、法律もそれにならって整備されている。また、農業で使われている場合の慣行水利権や下流の漁業権などが存在し、それらを取りまとめるのは至難の業である。

 水利権や漁業権をクリアしたとしても、誰のものでもない公共の水を使って事業を行う前提がない。このため特定の事業者に許可を出す基準が明確でなく、自治体としては事業者に許可を出す大義が必要である。

 また、小規模の地熱発電の開発を行う場合、地熱開発それ自体のリスクが比較的高いこともあるが、開発可能な地域のほとんどには温泉街があり、温泉組合が温泉の枯渇などを恐れて事業を行うことを良く思わないケースが多い。もちろん自治体も地元が反対する案件の許可を喜んで出すことはない。

 小水力や小規模地熱の開発に共通するのは、地域との関わりを無視して進めることができない事業であるということである。

 事業者側からすると、FITは発電して電力系統に電気を流す「売電」が目的となるが、ほとんどの再生エネ発電設備の場合、地域固有の資源を活用して発電事業を行っているにもかかわらず、結果的に地域への還元はほとんど行われていない。

 そのため小水力や小規模地熱は、煩わしい地元調整や手続きを嫌ってほとんど普及が進まない。結果的に建設費用が十分に低減できないため、事業性も向上しない。だから誰もやらないという悪循環に陥っている。

 ◆コスト削減に貢献

 そのような状況の中、エコスタイルでは地域との関わりを煩わしいと思うのではなく、積極的に関わりをもつことで、地域を味方にしてメリットに変えていく。事業収益のみを追求するのではなく、地域に貢献できる仕組みとして電源開発を行い、その電気の活用方法まで提案している。

 例えば常時は発電した電気を地域への供給電源として活用することで地域のエネルギーコスト削減に貢献。一方で、災害時には電源を開放して近隣住民が自由に使うことで地域の災害時の拠点になることができる仕組みである。この仕組みを各地で展開していく予定だ。(中島健吾 取締役電力事業部長)

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【プロフィル】中島健吾

 なかしま・けんご 1991年横浜市立大商卒。外資系証券会社や信託銀行などを経て、2015年エコスタイルに入社し、取締役。48歳。島根県出身。