□幸和製作所・玉田秀明社長
福祉用具メーカーの幸和製作所は11月28日、東証ジャスダック市場に新規上場した。国内初となる高齢者用の歩行補助車であるシルバーカーを開発し、市場シェアは約5割を占める。介護保険適用対象の歩行車では3割弱、つえでも2割弱でいずれもトップシェアを誇る。新たな市場を開拓するため、ロボット技術の研究や男性向け新ブランドの展開にも取り組む。玉田秀明社長は「介護ロボットの開発による付加価値向上と、ブランド強化によって事業を拡大していく」と話す。
--主力製品の販売ルートは
「主に量販店やホームセンターなどの店頭販売と、介護サービス事業者を通して介護保険を活用したレンタル・販売によって利用者に商品を提供している。中国では連結子会社を通じて販売している」
--福祉用具に参入したきっかけは
「高い開発力と商品力で業界をリードしてきた。1965年に乳母車メーカーとして創業したが、高齢者が使われなくなった乳母車をつえ代わりに使用しているのを見た創業者の玉田栄一会長が、もっと安全で便利な商品を世に送り出そうと、75年に国内初のシルバーカーを発売した。以降、軽量でコンパクトな使いやすい商品の開発を進めてきた。2007年には福祉用具を総合的に展開する目的で自社ブランド『TacaoF(テイコブ)』を創設した」
--ロボット技術にも取り組んでいる
「15年にロボット技術を利用した業界初となる電動アシスト歩行車『リトルキーパス』を発売した。この商品は介護ロボットとして介護保険のレンタル対象認定を日本で初めて受けている。5月には東京・新橋に『ロボティクスR&Dセンター』を新設し、産学で連携して介護ロボットの研究開発を手掛けている」
--なぜ男性向けブランドを立ち上げたのか
「シルバーカー、歩行車の利用者は8割が女性で偏りがある。男性は『かっこ悪い』『恥ずかしい』という理由でためらうようだ。そこで男性の顧客を開拓するため団塊世代を対象に新ブランド『ジェンティルマローネ』を展開している。『イタリア紳士に学ぶ、遊びゴコロのあるカッコイイ福祉用具』というブランドコンセプトで10月に発売したところ、介護サービス事業者から予想以上の反響を得ている」
--海外事業の方向性は
「3月に海外事業推進部を設置して、韓国、中国、香港、タイ、シンガポール、台湾の6カ国・地域に向けて本格的に営業活動を開始した。18年2月期の海外売上高は3億円を予測している。国内と違い歩行車、シルバーカーを使う習慣が根付いていないため、各国で介護保険制度などが整えば、急速に普及していくだろう。20年2月期までに海外売上高を10億円に伸ばす計画だ」
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【会社概要】幸和製作所
▽本社=堺市堺区海山町3丁159-1
▽設立=1987年10月
▽資本金=4億2155万円
▽従業員=438人 (2017年2月末時点)
▽売上高=52億6000万円 (18年2月期予想)
▽事業内容=福祉用具の総合メーカー
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【プロフィル】玉田秀明
たまだ・ひであき 此花学院高(現・大阪偕星学園高)卒。1996年4月幸和製作所入社。取締役、香港法人社長を経て、2005年5月から現職。39歳。大阪府出身。