三菱マテ系、新たな不正発覚 性能データ改竄、現場が隠し発見遅れる

製品検査をめぐる新たな不正について会見する三菱マテリアルの竹内章社長(右から2人目)ら=19日午後、東京都千代田区
製品検査をめぐる新たな不正について会見する三菱マテリアルの竹内章社長(右から2人目)ら=19日午後、東京都千代田区【拡大】

 三菱マテリアルは19日、子会社の三菱電線工業で新たな不正が発覚したと発表した。携帯電話の電子部品などに使う「平角マグネットワイヤ」で性能データ改竄(かいざん)が行われていたほか、水や油漏れなどを防ぐ「シール材」では必要な検査を一部実施していなかったことが判明した。三菱マテリアルは11月23日に子会社3社の不正を発表したが、現場が隠していたため不正の発見が遅れた。

 平角マグネットワイヤは被膜の厚さなど寸法データを書き換え、5社の顧客に出荷していた。一方、シール材は11月23日にデータ改竄した製品を229社に出荷したと公表していたが、検査の一部未実施の製品を含め、不適合品の出荷先が約260社に拡大した。

 三菱マテリアルはグループ全体で他の不正がないかについて臨時調査を実施し、直近2年で新たに11件の品質コンプライアンス問題を確認したことも公表した。だが、寸法測定方法の誤りなどであり、「データ改竄はなかった」(小野直樹副社長)と強調した。

 三菱マテリアルの竹内章社長は19日の記者会見で陳謝したが、経営責任については「原因究明と再発防止策を速やかに実行し、ガバナンス(企業統治)の強化を図ることが今の私の使命だ」と語るにとどめた。

 三菱マテリアルは外部に委託している調査報告について、子会社の三菱伸銅の調査結果を年末までに公表するが、三菱電線やグループ全体は調査が終了しないため、同時点で判明している事実のみ公表する予定。