来年3月に創業100周年を迎えるパナソニックは「脱家電」にかじを切り、市場拡大が見込まれる電気自動車(EV)向けなどの車載用電池や自動運転といった自動車関連事業に社運をかけている。2021年度までに関連売上高を現在の約2倍の2兆5000億円に引き上げる方針。中でも世界シェア首位の車載用電池でさらなる拡大を図るが、海外勢も猛追しており予断を許さない。
「この100年のビジネスモデルでは中国、韓国との競争も厳しい。次の100年はどこで勝負するか、強みを明確にしなければならない」
パナソニックの津賀一宏社長はインタビューで強調した。松下幸之助氏による創業以来、家電製品を主力に成長してきたが、薄型テレビなどのデジタル家電では中国や韓国勢との価格競争に巻き込まれ、思うように利益を出せない状況が続いていた。
このためパナソニックは世界的なエコカーの普及をにらんで車載用電池を今後の収益の柱と位置付け、米EVメーカーのテスラやトヨタ自動車との提携強化を着々と進めている。
デジタル家電では高級モデル以外は他社との差を出しにくく、価格重視の購入者が多いのに対し、電池では技術力が容量などの性能に直結するため値崩れを回避できるとの読みもある。
ただ、テスラのEV新型車の販売計画の遅れで電池の共同生産にも遅れが生じるなど懸念も出始めている。
韓国のサムスンSDIやLG化学のほか、EV普及を国策として進める中国勢が開発投資を急拡大しており、競争激化は必至の情勢だ。