「蛍光シルク」、新ビジネスに期待 繭を商用で初出荷 群馬


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 群馬県蚕糸技術センターが地元養蚕農家などと協力し、緑色蛍光シルクを作る遺伝子組み換えカイコを育て、繭を商用として初めて出荷した。京都市の織物会社が商品化する予定だ。養蚕農家が減り続ける中、関係者は「今後、蛍光シルクの需要が安定すれば、ビジネスとしても成り立つ」と期待を寄せる。

 センターは蚕糸業の振興を目指し、農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県つくば市)と共同で、超極細シルクや蛍光シルクを作る遺伝子組み換え種の実用飼育実験を重ねてきた。

 昨年、京都市の織物会社「細尾」から、緑色蛍光シルクを作るカイコを大量に育ててほしいと依頼があった。同社は美術家が2015年に発表した緑色蛍光シルクを使った作品づくりに携わった経験があり、闇の中に浮かぶように光り輝く作品の出来栄えや国外からの反応に、細尾真生社長(64)が「可能性を感じた」という。インテリアなどでの商品化を検討し、世界的なアーティストとの企画も考えている。

 センターの実験施設内だけでは大量のカイコを育てられないため、農林水産省と環境省の許可を得て前橋市内の農家が協力。計12万匹が育った。できた繭は約176キロ。青色LEDライトなど特定の波長の光を当てフィルター越しに見ると、幻想的な緑の光を放つ。

 海外の安いシルクや代替素材の台頭で、群馬県内で1900年代初頭に約8万7000戸あった養蚕農家は今年、121戸にまで減った。センターの須関浩文所長(57)は「企業とともに魅力を世界に発信し、他の遺伝子組み換え種の利活用にもつながればうれしい」と話している。