アサツーDK、羽を伸ばして海外M&A

 米投資ファンドのベインキャピタルによるアサツーディ・ケイ(DK)への株式公開買い付け(TOB)が成立した。アサツーDKはいったん上場を廃止し、ベイン傘下で事業構造改革に取り組む。市場拡大に向け、ベインの支援を得て1000億円規模の海外企業買収を行う可能性もあり、成長戦略を加速させ、3年後の再上場を目指す。

 ベインの杉本勇次日本代表とアサツーDKの植野伸一社長がブルームバーグ・ニュースの取材に答えた。植野社長は、今回のTOBで広告最大手の英WPPとの提携が解消され、より自由な海外戦略が可能になることから「中国、東南アジアでM&Aを積極的に考える」と強調。広告の付加価値を高めるハイテク企業などを探しているとした。

 杉本代表は、M&Aを「積極的にサポートしたい。手元資金で足りなければ調達も手伝う」とし、成長に不可欠なら1000億円超の案件でも進めるとした。アサツーDKの時価総額は約1500億円。エグジットの時期や方法について、3年をめどに「なるべく早期に再上場させたい」とした。

 ベインの杉本代表は「デジタル、グローバルという観点でしっかり基盤を作ること」が早期の再上場につながるとみる。戦略の方向性として、植野社長は海外ではベイン投資先の活用で事業展開の選択肢を広げたり、アサツーDKが強い日本のアニメなどコンテンツのマーケティング事業に注力するとした。

 デジタルの分野では、インターネット広告の費用対効果を顧客にきちんと説明できる企業が勝者になれるとして、ともに取り組む提携先をベインと一緒に探したいとした。

 ベインは約1326億円でアサツーDKの発行済み株式の87.05%を取得。杉本代表によると、当初はTOBに猛反発していた筆頭株主のWPP、第2位株主の英投資ファンドのシルチェスター・インターナショナル・インベスターズも応じた。3分の2超の議決権を得たため、少数株主対策として株式併合の手続きを経てベインが完全子会社化することになる。

 アサツーDKは来年2月に臨時株主総会を開催し、株式併合を決議。順調なら3月下旬に上場廃止となる。植野社長を含む経営陣は続投する見込みで、ベインは杉本代表を取締役として派遣する。WPPとの提携はいったん解消するが現行の取引は続け、4月以降、今後の協力体制について協議する意向も示した。WPP株は今後売却する。(ブルームバーグ Takako Taniguchi、Min Jeong Lee)