日興100年、フランクフルト新天地

インタビューの質問に答えるSMBC日興証券の清水喜彦社長(ブルームバーグ)
インタビューの質問に答えるSMBC日興証券の清水喜彦社長(ブルームバーグ)【拡大】

 三井住友フィナンシャルグループは、英国の欧州連合(EU)離脱後の域内証券業務の中核拠点として設立する独フランクフルトの現地法人を、約30人の陣容で開始する。SMBC日興証券の清水喜彦社長がブルームバーグの取材で明らかにした。

 ◆EU諸国から人材

 清水社長は、株式や債券、デリバティブの営業や引き受けなど投資銀行業務のため、ロンドン現法からの移籍だけでなくドイツなどEU諸国でも採用する計画を明らかにした。

 三井住友FGはトレーディングやM&A(企業の合併・買収)のアドバイザリー、株式・債券の引き受けなど海外での手数料ビジネスを強化している。SMBC日興の香港、シンガポール、米国、英国における人員数はここ1年で15%増加。第一次世界大戦終結前に日興の起源である川島屋商店が日本橋に設立されてから7月で100年、海外ビジネス拡大の過渡期にある。

 清水社長は「米国と欧州をもっと強くしようと考えている」と言明。バンカーの採用だけでなく、チーム買収の可能性も言及した。ブレグジット後の欧州事業については、英国には引き続き全ての機能を持たせるが、「自動車産業など、ロンドンよりは大陸に置いた方がいいかもしれない」と述べ、これから戦略を練っていくと語った。

 三井住友FGは2019年3月までに現地法人をフランクフルトに設立する計画だ。清水社長はまた、同証券が新会社に85%を、三井住友銀行が15%をそれぞれ出資する方向で検討していることを明らかにした。

 ◆越境M&Aを助言

 清水社長の16年4月の就任以降、米国で6人のシニアバンカーを起用した。リチャード・アイゼンバーグ氏が野村ホールディングスから、アンドリュー・プラット氏がBNPパリバから入社、今年7月に共同ヘッドに就任したことが判明した。バンカーとしてそれぞれハイテク産業とエネルギー部門を率いる。

 清水社長は、今後の米国での採用について「まだまだだ」と述べ、食品や飲料、テクノロジーセクターを拡充するため、引き続きバンカーを起用する考えだ。

 また、時価総額500億円から1000億円の有力企業をターゲットに、日本とのクロスボーダーM&Aを助言していくという。SMBC日興は16年7月にバークレイズでM&Aのマネジングディレクターを務めていた豊泉直紀氏をアドバイザリー戦略部長に迎えている。

 SMBC日興は米国でのビジネス開拓のため、三井住友銀の融資力をてこにしていく考えだ。「お金を貸すことで初めて情報をもらえる。融資があり、その肩代わりを債券でやり、エクイティでの調達がきて、その資本を使うためにM&Aに入っていく」と清水社長は話す。

 ◆日本橋に再び本拠

 日本国内では、SMBC日興は現在650人が在籍する新川(中央区)のオフィスから撤退、発祥の地の日本橋に新拠点を構える計画だ。18年6月末に完成予定の地上32階建て日本橋高島屋三井ビルディングに9月以降入居する予定だという。

 また、現在、投資銀行業務の中核拠点である新丸の内ビルディングでは、シティグループが9月まで入居していた3フロアを新たに賃貸する契約を結び、15階から24階までを使用する計画だ。

 このほか、SMBC日興はインベストメントバンキングやマーケッツ業務に加え、個人投資家向けのリテールビジネスも拡充する。支店の営業員を現在の2700人から、19年4月には3900人程度に増やす計画だ。

 同社は来年7月7日に創業から1世紀を迎える。当時は現物株の取り扱いを行う個人商店で、旧日興証券は日本興業銀行が大株主だった。東証に隣接する日本橋の兜町日興ビルに本社機能を持っていたが、12年に新川に移転、100周年を迎える18年、再び日本橋に本拠を構えることになった。(ブルームバーグ Takahiko Hyuga)