【高論卓説】乳酸菌市場に挑むキリン 新ブランド浸透は需要創造戦略が鍵 (2/2ページ)

 プラズマ乳酸菌の作用をキリンが発見したのは2012年である。既に一部、商品化しており、満を持して打ち出したのが「iMUSE」ブランドである。商品はサプリメントやヨーグルトなどのため、薬事法の規制で効能をうたえない。このため学理的に特長を理解してもらえるプロを介して、需要を掘り起こそうというわけである。

 実際に薬局、医療機関などの市場開拓に乗り出している。例えば全国に700カ所余りある調剤薬局のクオール薬局が11月末からサプリメント「iMUSEプロフェッショナル」の販売を開始した。さらに医療機関や大学病院内の売店などにも販路を広げている。

 また社員の健康維持に努めるいわゆる健康経営に熱心な企業と手を組む戦略を展開している。ある企業では、担当部署や産業医と連携して社員へのプラズマ乳酸菌の啓発を始めた。いずれこうした企業で、サプリメントやヨーグルトなどの職域販売を検討している。

 他社との事業連携では、スナック菓子のカルビーがプラズマ乳酸菌配合のポテトチップスを全国のコンビニエンスストアで10月から販売している。佐野部長は「プラズマ乳酸菌への信頼を築くことが、新ブランド確立の鍵」と考える。種をまくようにして、底堅い需要をつくり出す狙いである。230億円と発表した10年先の販売目標について、磯崎社長は「かなり謙虚に言っている。今健康領域でさまざまな研究開発をしており、1000億円の規模にしたい」と意気込む。まずは「iMUSE」が新需要を創出できるかどうかが関門である。

【プロフィル】森一夫

 もり・かずお ジャーナリスト。早大卒。1972年日本経済新聞社入社。産業部編集委員、論説副主幹、特別編集委員などを経て2013年退職。著書は『日本の経営』(日本経済新聞社)、『中村邦夫「幸之助神話」を壊した男』(同)など。67歳。