【高論卓説】大学院増加に警鐘 収入や体裁にこだわるなら質的低下 (2/3ページ)

日体大理事長の松浪健四郎氏
日体大理事長の松浪健四郎氏【拡大】

 大学院の教育・研究は重要だ。ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典・東京工大栄誉教授も話していたが、大学院や大学では主に費用を要する基礎研究が行われる。どの大学も文科省の科学研究費を獲得するために努力しているが、予算が十分とはいえない。

 大学授業料無償化を唱える各政党は、大学院支援や科研費増額を口にしない。わが国の研究力向上を考えたとき、大学院の発展こそが将来を左右する。

 既に英語は国際標準となっていて、大学院の講義は多くの原書を用いて行うのが一般的であるがゆえ、院生の語学力は高いはずである。外国でも活躍できる力量を蓄えている院生でなければならない。そのレベルに達していない大学院があるとすれば、見直す必要もあろう。法科大学院の失敗を糧にして、文科省に改善策を求めたい。

 院生時代、ドイツ語と英語の授業に泣かされた。学界をリードする一流教授陣たちは、容赦なく勉強と研究を強制した。だが、少人数だったので、緒方洪庵の適塾よろしく互いに学問を楽しむことができた。

 文科省は、大学入学定員の厳守を通達し、ペナルティーも準備しているが、大学院の入学定員についてはお目こぼししている。大学は収入増を大学院に求めて逃げ道としているなら問題で、質的低下を招く。深遠なる学問の深化や基礎研究は、今日では大学院教育にかかっているといっても過言ではない。

大学院教育の充実策をまず考えるべき