不動産業界など「快適オフィス」で士気向上 “ワイガヤ感”が増す仕掛けとは (1/3ページ)

三菱地所の新本社のイメージ。内部階段を設けて部署の垣根を越えたコミュニケーションの活性化を図る
三菱地所の新本社のイメージ。内部階段を設けて部署の垣根を越えたコミュニケーションの活性化を図る【拡大】

  • 三菱地所の本社移転先である大手町パークビルディング(左)=東京都千代田区

 働き方改革の一環として、不動産やオフィス家具メーカーの間で社員が一体感を持って業務に取り組めるよう本社拠点を整備する動きが広まっている。個室の廃止や大型円卓の設置など工夫を凝らしたレイアウトで対話を促し士気を高めるのが狙いだ。外部の意見も積極的に取り入れ、改良を重ねた「快適なオフィス空間」を、職場環境の改善に取り組む企業への提案営業にも生かす。

 担当役員の個室廃止

 不動産大手の三菱地所は年明けに移転するオフィスビル「大手町パークビルディング」(東京都千代田区)の3~6階を新本社として活用する。各フロアを2つの内部階段でつなぐことで、部署の垣根を越えたコミュニケーションの活性化を図る。

 同社は現本社の大手町ビル(同)で「FINOLAB(フィノラボ)」という、金融とITを融合させたサービスを開発するフィンテック企業の育成拠点を運営する。みずほフィナンシャルグループの拠点も誘致し大手金融機関との連携を促すことで、ベンチャー企業の成長を後押ししている。

 一方で、「コラボレーションの重要性を唱えながら、果たして社内でこうした文化が形成されているのか」といった社員の声が少なくなかった。このため新本社では、人が自然に集まるような環境づくりに力を入れることにした。

 移転に伴い本社スペースは、現在の延べ床面積に比べ25%減少する。1人でこもるような執務空間を削減したのが理由だ。その分、社員が気軽に集うことができる共用スペースを大幅に拡充。全体に占める割合を10%から30%へと増やした。

大胆な改革も断行