日本企業を壊す「PDCAを回す」という言葉… まっとうな経営に潜むほころび (3/3ページ)

 「ほころび」はほぼすべての企業活動に存在

 ほころびは、生産にのみ存在するのではない。研究開発、製品開発、調達、物流、マーケティング・営業、人的資源管理、会計など経営職能のほぼすべてに存在する。また、意思決定の進め方、組織構造、会議運営、顧客との関係、事業の仕組みの中にもある。

 以下ではいくつかのほころびを例示する。

 ・不採算事業であると認識していても、撤退しない

 ・予算目標未達の場合、第3四半期に入って、強力に挽回計画を推し進める

 ・受講者が業務の都合で、研修を中座することを認めている

 ・決算後に損益分岐点分析を行っている

 ・製品別の貢献利益(粗利)で、製品収益性を評価している

 ・新規顧客開拓よりは、既存顧客との関係強化に注力している

 ・新製品開発にあたって原価企画を行っている

 ・カンパニー制を導入し、その後、この制度を廃した経験がある

 ・「PDCAを回す」という言葉はよく使われる

 ・OJTと異動が、社員の育成のための主要なアプローチである。

 上記のリストを一読して、これらのどこにほころびがあるかわからない人のほうが多いかもしれない。というよりも、自社の経営において当たり前のように行われている(行っていた)ことだと思う人のほうが多いだろう。しかし、本連載を読み進めていくと、次第に問題の深刻さに気づき始めるだろう。

 ここで取り上げるテーマは、いずれも10年間にわたって私が主宰する「『逸品』ものつくり経営塾」で塾生の方々に伝えてきたものである。より多くの方々に、塾生と共に熱く語り、問題の解決に取り組んできた活動に触れてもらいたい。いかに問題が深刻であるかを伝え、みなさんを不安にさせることが目的ではない。問題を直視するとともに、適切な解決策をともに考え、明るい未来を手にすることこそが大切なのである。

 加登 豊(かと・ゆたか)

 同志社大学大学院ビジネス研究科教授(神戸大学名誉教授、博士(経営学))

 1953年8月兵庫県生まれ、78年神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程修了(経営学修士)、99年神戸大学大学院経営学研究科教授、2008年同大学院経営学研究科研究科長(経営学部長)を経て12年から現職。専門は管理会計、コストマネジメント、管理システム。ノースカロライナ大学、コロラド大学、オックスフォード大学など海外の多くの大学にて客員研究員として研究に従事。

 (同志社大学大学院ビジネス研究科教授 加登 豊 写真=Rodrigo Reyes Marin/アフロ)(PRESIDENT Online)