宇宙ベンチャー飛躍の年に 地球観測や人工流れ星…打ち上げ続々 (2/3ページ)

インターステラテクノロジズのロケット「MOMO」初号機の打ち上げ。目標高度には達しなかった=2017年7月30日、北海道大樹町(同社提供)
インターステラテクノロジズのロケット「MOMO」初号機の打ち上げ。目標高度には達しなかった=2017年7月30日、北海道大樹町(同社提供)【拡大】

  • 宇宙ベンチャーのispaceが開発した月着陸船のイメージ(同社提供)
  • 人工流れ星を発生させる衛星のイメージ(ALE提供)

 大きな試練

 ベンチャー企業の事業には、リスクが付きものだ。

 アストロスケール(シンガポール、開発拠点は東京都墨田区)は、機能しなくなった人工衛星などから飛散したスペースデブリ(宇宙ごみ)を回収する事業を目指して日本人が創業した。デブリ観測衛星を、ロシア国営宇宙開発企業ロスコスモスのロケットを使い、17年11月、ロシア極東のアムール州から打ち上げたものの、衛星の軌道投入に失敗。今後の計画を再構築している。

 アストロスケールの担当者は「いきなり大きな洗礼を受けた」と落胆を隠さない。

 多くの衛星がデブリとの衝突で故障している。宇宙ごみは、直径1センチ以上のもので推定約50万個あるとされているが、それ以下の数ミリ級になると数が確認できていない。それらをデブリ観測衛星で確認し、宇宙ごみ回収事業の足がかりにするはずだった。

 インターステラテクノロジズ(北海道大樹町)も17年7月、観測ロケット「MOMO」を打ち上げたが、予定の高度100キロには届かなかった。既に2号機の開発を進めており、18年春にも打ち上げる予定だ。

 多くの支援も

 銀行など既存の金融機関は、宇宙ビジネスの事業化までに多額の費用と時間が必要とあって、融資には慎重だ。「ソフトウエア開発のように短期で大きな成長が見込めない」と投資に二の足を踏むベンチャーキャピタル(VC)も多い。

 そんな中で、あらゆる面から宇宙ベンチャーを支援しようとする動きもみられる。

 政府系ファンドの産業革新機構や日本政策投資銀行は17年12月13日付で、ispace(アイスペース、東京都港区)に出資。同社は民間出資分も合わせて100億円超を調達し、月面着陸船を開発する。20年には月に到達させ、水など資源の埋蔵量を調べる計画だ。

テーマはユニークな宇宙空間の活用