ユニクロで「アルバイト」したジャーナリストが見た、現場の実態とは (1/2ページ)

 第三者の視点から、企業の在り方を客観的に分析する--。こうした手法は企業ジャーナリズムの王道だ。だがジャーナリストの横田増生氏は、自らスタッフとして企業に潜入し、現場の指示系統、人間関係、商品の売れ行き、残業の多さなどを体感した上で、企業の実態を克明に描く手法を得意とする。そんな横田氏が、アルバイトとしてユニクロで1年間働いた体験をまとめたのが「ユニクロ潜入一年」(文藝春秋、税別1500円)だ。

 横田氏は以前からユニクロの“ブラック”な労働環境に関心を持ち、社員や海外下請け工場などを幅広く取材。書籍や記事で批判してきた。今回の潜入を決意したのは、ファーストリテイリングの柳井正社長がある雑誌のインタビューで「われわれはブラック企業ではない」「悪口を言っているのは、会ったことのない人がほとんど。社員やアルバイトとして働いてみて、どういう企業かを体験してほしい」という旨の発言をしたため。横田氏は、柳井社長の発言を“招待状”と捉えたというわけだ。

 横田氏は正体が分からないよう、妻といったん離婚し、再婚した上で妻の姓を名乗るという“合法的な改名”を経てアルバイトの面接に臨み、「イオンモール幕張新都心店」(千葉市)のスタッフとなる。その後も「ららぽーと豊洲店」(江東区)、「ビックロ新宿東口店」(新宿区)へと職場を変えつつ、主婦や学生、外国人といった主力層と共に働く。

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