これは職人としての使命だ 被災地で大活躍、元祖「パンの缶詰」を作った男 (4/6ページ)

 救缶鳥は通常のパン缶容量の2倍で、再購入してくれる場合は、1缶当たり定価800円から102円を割り引くことにした。09年から始まり、ヤマト運輸の協力を得て回収コストを下げることができた。

 缶にはメッセージを書き込む欄があり、被災者に励ましの言葉とパンを届けることができる。ラベルに企業名を印刷すれば、社会貢献活動のアピールにもなる。すでに多くの企業や自治体、学校などが救缶鳥プロジェクトに参加し、約300団体が備蓄する約30万缶が救缶鳥として提供されている。これまでの支援国は20カ国にのぼる。

古いパン缶を回収し、無償で国内外の困っている人に提供する「救缶鳥」プロジェクト(PRESIDENT Onlineより)

古いパン缶を回収し、無償で国内外の困っている人に提供する「救缶鳥」プロジェクト(PRESIDENT Onlineより)

 阪神・淡路大震災をきっかけに開発

 パン・アキモトは、1947年に秋元の父、健二が脱サラして創業した。健二は戦前まであった大日本航空の国際線無線通信士で、英語やフランス語にも堪能だった。敬虔(けいけん)なクリスチャンであり、敗戦後の食糧難に苦しむ人々を助けようとパン屋を始めた。

 秋元は76年に法政大学を卒業後、都内のパン店で2年間修行してから家業を手伝うようになった。

 パン缶を開発するきっかけは、95年に起きた阪神・淡路大震災だった。神戸の教会に健二の知り合いがいたこともあり、支援のためにパンを焼いて2000食ほど送った。ところが、届くまでに時間がかかり、3割ものパンを廃棄せざる得なくなった。

パンの風味を残したまま保存食にしたい