【木下隆之のクルマ三昧】クルマの死角はゼロになる? デジタルミラー時代の先陣切るレクサス (4/4ページ)

 そう、将来的にはほとんどの車がCMSに置き換えられるに違いない。

 だが、デメリットもなくはない。最大のポイントは、焦点を合わせるのにコンマ数秒の時間的な遅れを伴う。鏡の反射は遠視点と呼ばれ、人間の目は鏡に反射した被写体までの距離に焦点を合わせる。つまり、リアルな物体を見ている。だが、デジタルミラーは、近視点となる。背後を走行している車そのものではなく、デジタルミラーに写っているバーチャルな映像に焦点を合わせる必要がある。そこに脳が混乱する。慣れがほとんどを解消してくれるとはいうものの、焦点の遅れは気になるものだ。

 とはいえ近い将来、バックミラーとサイドミラーは、鏡の反射ではなく、CMSと呼ばれる電気式モニターに置き換えられるのは間違いない。

木下隆之のクルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は隔週金曜日。

【プロフィル】木下隆之(きのした・たかゆき)

木下隆之(きのした・たかゆき)レーシングドライバー 自動車評論家
ブランドアドバイザー ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。