【光る社長 普通の社長】経営者の魅力が企業最大の武器


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 □アジア・ひと・しくみ研究所代表 新井健一氏

 人口オーナス期真っただ中の日本において中小企業の採用活動は、すでに手の尽くしようがないようにも言われているが、そうは思わない。魅力ある企業づくりが実現できていれば、企業規模はそれほど問題にならない時代だとも思うからだ。

 それを具現化する術については、当連載でおいおい順序立てて述べるつもりだが、何を差し置いても着手すべきは、経営者本人の心構えを根底から変えることだ。採用に関して言えば「どうせ優秀な人材など、うちでは採れない」という意識を捨て、本気で「採用試験日に行列のできる企業になる」と決心して取り組むことが肝要となる。

 一般的に人材募集というと、事業内容や会社の雰囲気を知ってもらうためのホームページ(HP)を制作し、会社説明会や先輩社員との懇親会を行うなど企業側からの情報を発信して終わりがちだが、本気で採りたいのならば、さらにもう一手が必要。イマドキの若者が企業に求めているモノを「わが社のお宝や目玉」として明確に掲げ、さらにそれを相手の心に響く方法で発信する必要がある。

 素晴らしい歴史を持つ企業でも、つかみどころがない、時代錯誤などの要因があれば、ラブコールを発し続けても人は寄ってこないのだ。

 では、若者たちが認める「お宝や目玉」とは何か。実は特殊な技術やユニークな事業内容もさることながら、経営者その人の魅力に重きを置くところが大きい。大げさに言えば「社長がわが社の目玉であり宝です」と胸を張って言える企業は、強風、逆風が吹き荒れる時代であっても人が寄ってくる。

 裏付けとして、若者と接する機会の多い私が感ずるところ、彼らの興味は「モノ」から「コト」へ、そして「ヒト」へと確実に変わってきている。「モノ」は物質的な豊かさを求めること、「コト」は体験すること、そして「ヒト」は尊敬する人。すなわち彼らは働く場所において、憧れる人とモノコトを共有することに喜びや価値を見いだそうとしている。

 企業規模だけに魅力を感じない若者が多く存在するこの時代をチャンスと考え、経営者は魅力ある自分に変革する勇気をもって行動してほしい。移ろう時代にも経営者の魅力が普遍であれば、それが企業の最大の武器になると信じているからだ。

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 当連載では、人材採用などを左右する“魅力ある企業づくり”の方法を紹介していく。

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【プロフィル】新井健一

 あらい・けんいち 早大政経卒。大手重機械メーカー、外資系コンサルティング会社、医療・IT系ベンチャー役員などを経て、経営コンサルタントとして独立。人事分野で経営管理や経営戦略・人事制度の構築、社員の能力開発・行動変容に至るまで一貫してデザインできる専門家。45歳。神奈川県出身。