再配達のワガママが通じるのはいまだけだ 物流費込みの“希望小売価格”に迫る限界(後編) (4/6ページ)

 この点に関しては、欧州にある小売の事例が1つの参考になるだろう。この小売では従来、店頭の商品棚割を考慮せず、ロールボックス(かご台車と呼ばれる人力運搬機)に積み込んでいたため、品出し時の店内移動距離が長く、時間もかかってしまっていた。これを、あらかじめ棚割を考慮した形へと変えることで効率化を実現している。

 具体的には相互に棚が近い商品同士を組み合わせてロールボックスに積み込むことで、品出し時の店内移動距離を短縮した。またドイツでは、パッケージや店舗を標準化することで、店頭作業を効率化した事例もある。

 製配販の連携で求められる業界構造の変化

 サプライチェーンの流れをさらに川上まで上っていくと、製配販(製造【製】・流通【配】・小売【販売】)という垣根を越えた連携の必要性も見えてくる。具体的にはメーカーと小売の良質なパートナーシップをどう結んでいけるかだ。

 日本ではこれまでメーカーと小売はより良い条件を相手から引き出そうと、厳しい交渉を重ねていた。メーカーは通常、生産供給に関する情報を自分たちで抱え込んだまま、卸へ商品を渡す。卸はそれを中間在庫として抱え、小売からの発注に基づいて出荷していた。

 この従来型の構造が続く限り、小売が持つ販売情報や需要予測などの情報が即座に生産に生かされず、全体として非効率な状態が続いてしまう。

 サプライチェーンの効率化を妨げている最大の要因は、「建値制」や「店着価格制度」のような日本の取引制度にある。メーカーが出荷の際に提示する希望小売価格には、あらかじめ卸や小売に支払われるマージン(手数料)が上乗せされている。これを「建値制」と呼ぶ。また、「店着価格制度」は商品価格と物流費が一体となって店舗への納品価格となる価格決定方法である。

物流費は明確にできるか