再配達のワガママが通じるのはいまだけだ 物流費込みの“希望小売価格”に迫る限界(後編) (5/6ページ)

 建値制や店着価格制度の下では、どうしても原価(コスト)構造が不透明になってしまい、小売によるメーカーへの疑心暗鬼から、メーカーへの値引きなど過度な要求へとつながりやすい。また、物流費がブラックボックス化してしまい、それを効率化しようというインセンティブが働きにくくなる。最近、それを見直すべきだとして物流費を分離表示することなども検討されるようになってきた。

 しかしながら、日本の取引制度や卸との関係性は実に複雑で、物流費の分離表示は簡単には進みそうにない。取引制度や卸の必要性が業界ごとに異なるだけにとどまらず、同じ業界の中でも、直接取引やオープン価格を志向しているメーカー・小売と、そうでないところがわかれている。これは、メーカーと小売の寡占度や商品数、商品ごとの差別性の程度など、さまざまな要因が影響している。この複雑性ゆえに、商品価格と物流費・小売や卸のマージンを分離するためには、個別の交渉が必要となり、簡単には進まないのが実情だ。

 これに対して米国では、卸を介さず、メーカーと小売が直接取引している。「オープン価格」の下、商品価格と物流費は分離しているのが一般的だ。そのため、メーカーと小売は対立関係というよりも、お互いの利益プールを最大化するためのパートナーシップ関係にあり、物流費を効率化するために連携しやすい。

そもそもなぜ商品を運ぶ必要があるのか