【eco最前線を聞く】クラレ ランドセルをアフガンで再利用

日本から届けられたランドセルを背負うアフガニスタンの子供たち(国際協力NGOジョイセフ提供)
日本から届けられたランドセルを背負うアフガニスタンの子供たち(国際協力NGOジョイセフ提供)【拡大】

 □総務・人事本部 総務部総務グループ 松澤さやか氏

 クラレは小学6年間の思い出が詰まったランドセルを、戦禍で教育機会を奪われたアフガニスタンの子供たちに贈るキャンペーン「ランドセルは海を越えて」に取り組んでいる。ランドセル素材で7割超のシェアを持つ人工皮革「クラリーノ」の提供企業として、使い終えたランドセルの再利用を促す国際社会貢献活動として2004年にスタートした。累計11万個以上が届けられており、15回目の今年は8日に応募受け付けを開始する。総務・人事本部総務部総務グループの松澤さやか氏は「細く長く地道に続けていくことが大事」と訴える。

 ◆再利用の問い合わせ発端

 --活動を始めた経緯は

 「消費者の方から『6年間使用してもきれいだし、再利用はできないか』との問い合わせが多数寄せられたのがきっかけだった。国内での再利用は難しく、それなら海外でと考えた。身近なランドセルを通じ、子供たちにリサイクルとボランティアへの気持ちを持ってもらいたいという思いがあった」

 --アフガンを選んだ理由は

 「当初はアフリカと東南アジアを調査した。ただ、アフリカは転売されるケースが多く、東南アは自国の縫製産業保護で関税がかかる。そこでイスラム圏に着目し、最終的に政情不安で物資が乏しく関税もない、要望も強かったアフガンに落ち着いた」

 --応募の手順と現地までの流れは

 「キャンペーンサイト(www.omoide-randoseru.com/home.html)を通じ、消費者から応募を受け付ける。今年は『成人の日』の8日12時をキックオフとした。3月下旬にランドセルの送り先を案内し、協力してくれる横浜市の物流倉庫に送ってもらう。送料は応募者負担で、倉庫から現地までの輸送費や配布費用は当社が負う。宗教上の理由で豚皮のランドセルは受け付けられず、倉庫での検品作業で日本鞄(かばん)協会 ランドセル工業会の協力を得て見分けする。現地の情勢にもよるが、現地の子供たちにランドセルが届くのは9月下旬から10月ころになる」

 ◆活動紹介の写真絵本も

 --これまでの実績は

 「累計で11万1500個、毎年6500~7500個を届けてきた。東日本大震災があった11年は1万個を超えた。今年も6000~7000個は目指したい。個人の応募に加えて、活動に共感してくれる地域や学校単位で応募してくるケースもある。ノートや鉛筆、クレヨンなどの文具の寄付も多く、ランドセルと一緒に梱包(こんぽう)して現地に送っている」

 --現地での配り方は

 「現地は部族性が高く、現地で女子医療に当たっている非政府組織(NGO)アフガン医療連合センターの協力を得ている。現地は教育施設の整備が遅れており青空教室で机代わりにランドセルが使われるなど、教育の機会に恵まれていない子供たち、特に女の子の教育活動の普及に役立っているという」

 --活動が長く続いてきた背景は

 「活動を重ね、支援の輪が広がっていることが大きい。4月に横浜の倉庫で実施する検品・梱包作業には社員、工業会の方々らがボランティアで約150人参加してくれる。このほか、毎年現地を訪れている写真家の内堀タケシ氏が13年にポプラ社から発刊した活動を紹介する写真絵本『ランドセルは海を越えて』は、学校図書として異例の2万冊まで広まった。シンガー・ソングライターの平原綾香さんはラジオ番組で活動を応援してくれるなど、多くの人々の協力で支えられている」(鈴木伸男)

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【プロフィル】松澤さやか

 まつざわ・さやか 東北大法卒。2008年にクラレに入社し、原料の購買を担当。15年に総務部へ異動し「ランドセルは海を越えて」を担当。32歳。群馬県出身。