【2018 成長への展望】資生堂社長・魚谷雅彦さん(63)


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 ■人への投資で能力や発想引き出す

 --国内の化粧品市場は好調だ

 「高価格帯はインバウンド(訪日外国人)需要もあって特に好調だ。帰国後にリピート購入する人も増えており、2016年に化粧品の輸出額が輸入額を初めて上回ったが、17年はさらに10%以上伸びている。高価格帯に力を入れ、訪日外国人に支持されている当社は、この流れを作るのに貢献できたのではないか」

 --インバウンドの好調はいつまで続くのか

 「短期的な流行とは思っていない。訪日外国人数が増えたといっても2000万人台。8000万人台のフランスなどとは大きな差がある。化粧品は購入した本人が使う場合が多く、生活必需品といえる。爆買いが落ち着いても大きくは減らないだろう。ただ、楽観視はせず、顧客に求められる商品を提供していく」

 --大阪府に建設予定の新工場に続き、昨年10月には栃木県の工場新設も打ち出した

 「国内事業やインバウンド需要の好調を考えると、供給は追いつかなくなる。資生堂を含め、日本企業の多くは失われた20年の中でコストを削減したり、生産を縮小したりして自己防衛してきたが、これまで十分にできていなかった成長投資を実行する」

 --10月には本社部門を対象に英語を公用語化する

 「英語は手段といっている。日本の本社はグローバル本社として海外の地域本社を支える役割も担っている。英語で海外の仲間とコミュニケーションできるようになってほしい。英語を学ぶことで、自己成長してほしいとの思いも込めている」

 --米子会社ののれんなどで巨額の減損を計上した

 「2010年に米ベアエッセンシャルを約1700億円で買収したが、市場の変化もあって成長軌道に乗せられていない。買収後にさまざまな取り組みを行ったとはいえ、十分ではなかった。今後も引き続き改革に取り組む。(売上高が)500億円規模のブランドは米国にはそうない。直営店約100店舗の閉鎖を打ち出したのは、あくまで再生のためだ」

 --15~20年の中長期戦略は前半3カ年を終えた

 「過去3年間は事業基盤の再構築の期間と位置づけ、解決しなければいけない課題に手をつけた。(工場新設など)攻めの手も打てた。個人に合わせた化粧品の人気上昇をにらみ、その日の肌の状態に合わせて美容液の種類や配合を変えられるシステムを開発したのもその一つだ。実際に成果が出るのはこれから。これまでがホップなら今年はステップ。人への投資に力を入れ、社員の能力や発想力を引き出したい」

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【プロフィル】魚谷雅彦

 うおたに・まさひこ 同志社大文卒。1977年ライオン。日本コカ・コーラ会長などを経て、2014年4月から現職。奈良県出身。